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特別編:「組織が活きるチームビルディング」を読む 連載3/5

更新日:2023年4月18日


 北森先生が書かれた「組織が活きるチームビルディング(東洋経済新報社2008)」の第2章は、『「自分に出会うこと」が、コミュニケーションの基本』となっている。

これはなかなかピンとこないことかも知れない。

「コミュニケーション」と「自分に出会うこと」?? 

今回のテーマはいわゆる自己概念である。



第2章 「自分に出会う」ことが、コミュニケーションの基本


 「よりよいチームづくりのためには、リーダーはメンバーについて知るだけでなく、その思いを深く感じ止める感受性も必要です。しかしそのためには、まずリーダー自身が自分と向き合い、自分を深く感じとめる必要があります。

 この章では自分自身について考えを深め、より深い自分に出会っていくプロセスを紹介したいと思います。」

(第2章の扉より)



運動神経が悪い

 

 私の話になってしまうが、子どもの頃、運動が大の苦手であった。小学校の頃、5教科の成績は良かったが、体育はずっと5段階評価で2か、良くて3であった。だから運動会が憂鬱で、特に優劣のハッキリ出る徒競走とかリレーなどが大嫌いであった。学生時代もバドミントン部に入ってはいたのだが、強くなろうという気があまり無く、適当に練習をして誰もがエントリーすれば出れる個人戦にだけ出るようなタイプであった。運動神経が悪いのだから勝てるわけない、と思い、練習もよくサボっていた。



思い込みの力

 

 バドミントンは、縁あって健康のために今でもやっているのだが、大人(?)になって不思議なことが起こった。学生時代に勝てなかった(勝てるなんて思いもしなかった)相手と、OB会で試合をすると、結構いい勝負をするようになったのである。友人は真面目な顔をして「おまえ、学生時代より強くなったんじゃない」なんて言ってくれた。あれ? 俺は運動神経が悪かったのではないのか??

 そう。どうやら長い間、自分は運動神経が悪いと思い込んでいただけのようなのである。

 イメージの影響の強さは、想像以上だと思う。人は思い込んでしまうと、どうしても色眼鏡で見てしまう。そしてそれは他人に対してだけではなく、自分に対しても、なのだと思う。



自己イメージの塗り代わり


 「組織が活きるチームビルディング」には、北森先生が携わっておられた、箱根駅伝で優勝した、順天堂大学の駅伝チームのチームビルディングの話が出て来る。そこで語られている「いつもTさんの背中を見て走っている」M選手の話がとても印象的である。M選手にとてTさんは、どうしても追い抜けない相手だった。しかし実は、TさんにとってのM選手は、「いつもひたひたと追いかけてくる怖い存在」だった。チームビルディング研修でそのことが明らかになり、M選手の自己イメージは大きく塗り変わることになる。チームメンバー(Tさん)の心の叫びのようなフィードバックが、M選手の自己イメージに劇的な変化をもたらし、そのM選手の変化が、チーム全体の活性化へと繋がって行ったのである。



チームビルディングで起きること


 チームビルディング研修では、初めは明らかではなかった隠されたテーマが、段々と浮き彫りになってくる。誰かの自己開示や率直な表明がチームメンバーに伝染していき、その場がテーマを作っていく。そしてメンバー間の率直で真剣なフィードバックが、各人の深い自己への気づきに繋がって行く。それはとても自律的な動きであり、メンバーが自信を実感することにも繋がって行く。



自己概念


 北森先生の残された資料にこんなものもある

  • 明確な自己概念は自信の基

  • 明確な自己概念はコミュニケーションを良好にする

  • 自己概念はコミュニケーションによって鮮明になっていく

 そう。自己概念が重要なのである。自分が自分をどう思っているのか。それは正しいのか。他者はどう見ているのか。



あるがままに受け容れる

 

 自分を知ると言うことは、嫌な自分を見ることになるのかも知れない。しかしそれも含めて自分である。この第2章には交流分析(Transactional Analysis)の基本概念の1つ「ライフポジション(※)」の4つのポジションについて紹介されているが、4つの中の「I'm OK,You're OK」のポジションにいる人の特徴の1つは「自分のことも他人のことも、その欠点までも含めて、あるがままに受け容れて尊重できる」と書かれている。

その様なポジションに常に居れるようになりたいと思う。



(補足)※ライフポジションについて


 エリック・バーン(1910~1970)によって生み出された、「生きる姿勢」、言い換えると人が生涯を生き抜くときに持ち続けている「基本的な構え」だといわれている。人間が自分自身と他人について、どう感じ、どんな結論を下しているかという基本的な構えが、「OKである」「not OKである」という組み合わせで、以下の4つのポジションに表示されている。

① I'm OK,you're OK

このポジションにいる人は、欠点のある自分を受け容れ、欠点のある他人や気にいらない状況もあるがままに受け容れて尊重し、建設的で自信を持った行動ができるといわれている。

② I'm not OK,you're OK

このポジションにいる人は、他人のことが立派に見えて、わたしはだめだと思いたがったり、問題や困難から逃げようとしたり、尻ごみしたりするともいわれている。また、「和」を大切にし、思いやりのある反面、摩擦を怖れて言いたいことを言えず、自信がなかなか持てずに、先のことを心配しすぎるともいわれている。

③ I'm not OK,you're not OK

このポジションにいる人は、人に頼らずコツコツと粘り強く仕事を進める方が多いといわれている。人の邪魔をしないように、発言を控える方もいるともいわれている。ただ、他人に対して関心をもてないこともあるかもしれない。また、時として何かに挑戦しようという意欲がわかなかったり、現実から逃げたいと思う方もいるといわれている。

④ I'm OK,you're not OK

このポジションにいる人は、「俺についてこい」という姿勢でのリーダーシップを発揮したいと思っているといわれている。その意味で親分肌で努力家だが、そういった想いが強く働きすぎて、他人の意見や気持ちをじっくり聴いたり、受け容れようとせず、都合の悪いことは責任転嫁をするともいわれている。

 TA(交流分析)では、人間は誰でも、いずれかのポジションに立って行動していると考えられている。どのポジションにいるかは、時と場合によって異なるように感じることもあるだろう。1日をふりかえっても、それぞれのポジションを何回となく移り変わっているように感じるかもしれない。しかし、TAの理論では、人によってどちらかというと居心地のよいポジションがあるという。

 あなたは「今」どのポジションにいると感じますか?どちらかというと居心地のよいポジションはどこでしょうか?



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