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一緒に過ごせば仲良くなる?今どきの新入生交流に必要なのは時間?行き先?仕掛け?【文教大学】連載1-1

更新日:5月24日

埼玉県越谷市に本部を置き、東京あだちと湘南にキャンパスを持つ文教大学。「教員養成の文教」として知られ、教育、文学、国際、情報、栄養など幅広い学部を擁する、収容定員7000名超の中規模校です。

国際学部では新入生の大学適応をスムーズにするために2016年入学者からチームビルディングプログラムを活用していただいています。先輩学生30名ほどを募り、チームビルディング研修を行って「学部リーダー」を養成。新入生の入学後の交流会でチームビルディングプログラムを実施する際にはファシリテーターを務めてもらっています。チームビルディングを学生ファシリテーターの育成や新入生の仲間づくりに活用するようになった背景について、国際学部の新入生交流会の担当を務めておられた千葉 克裕先生(文教大学 国際学部 国際理解学科 教授)に話を聞いてみました。




――まず先生のご経歴からお聞かせいただいてもいいでしょうか。ご専門は?


千葉先生 英語教育学や応用言語学といったものです。学部は教育学部で、修士でアメリカに行き、第二言語としての英語教授法で学位を取得しました。



――私が千葉先生と初めてお会いしたのは、文教大学に来る前の桜の聖母短期大学(福島県)だったと記憶しています。


千葉先生 そうです、英語を教えたり、教員になる学生を教えたりしていました。ちなみに、それ以前は福島県で10年間、高校の教員をしていました。その後、桜の聖母短期大学を経て文教大学に来たんです。



――そうなんですね!修士を取って、高校教員を経て大学教員になるケースはかなり珍しいのでは?


千葉先生 実際の現場を踏む人も一定数いますが、高校教育も経験してから教師教育にあたるというのは、この専門の中では「ちゃんとしているほう」かなと思います。



――文教大学では国際学部では英語科目を担当されているのですか?


千葉先生 そうですね、純粋な英語系の科目もあれば、英語学や心理言語学といった少し言語学に寄っている科目もありますね。専門科目を英語で教えることにチャレンジしてみたくて、「心理言語学」は英語で授業をしています。



――ご自身のキャリアにおいても授業においても、いろんなことにチャレンジしているんですね。さて、本題に入りますが、国際学部で導入されている弊社のチームビルディングプログラムのことについてお尋ねしてもいいでしょうか。国際学部では学生ファシリテーターを養成して、新入生向けに1日版のチームビルディングプログラムを実施されていますよね。そういうプログラムを導入することになった経緯をお聞かせください。


千葉先生 私が文教大学に赴任したのは2012年ですが、当時から八ヶ岳にある大学の寮で新入生合宿というイベントが行われていました。ただ、寮のキャパシティが小さいため、1学年を4班に分けて、1泊2日の合宿を4班連続で実施。先輩リーダーが学校生活のオリエンテーションをしたり、新入生ゼミごとに親睦を深めたりということをちょこちょこやるんですが、校舎のある湘南から八ヶ岳に行くと移動時間がかかって、泊まりにいっているだけのような状態で、私としては我慢がならなかったんです。



――我慢がならなかったのはどういう点ですか?


千葉先生 「教員とゼミの仲間と知り合う」というのがねらいですが、よく見ると、一晩一緒に泊まるくらいで何も起こっていないんです。何もしないよりは良いのですが、学部予算を費やしている割には意味がないのではないかと言う気がして。文教大学に着任して2、3年目に私も新入生合宿の担当を務めたのですが、4班に分けて行うので作業量も多いし、費用対効果を考えるともったいないしと、イライラがつのりまして。



――それまでの新入生合宿があまり機能していないと感じられたということですね。


千葉先生 ラーニングバリューさんには、私が桜の聖母短期大学にいた時に、リーダー育成の件でお世話になっていたのですが、その頃から御社のチームビルディングプログラム『自己の探求』を活用していて、プログラムの良さは強く感じていました。



――そもそも千葉先生が『自己の探求』を知ったきっかけは何だったのですか?


千葉先生 私が桜の聖母短期大学にいた頃、京都で開催された私立短期大学協会のセミナーで北森先生(チームビルディングプログラム『自己の探求』の開発者)から「このプログラムによって新入生の交流をはかり、よいスタートをきることで退学率が大幅に改善した」という話を聞いて、これだ!とピンときて、すぐに営業担当さんと名刺交換したのを覚えています。文教大学に着任してから新入生合宿を見て、新入生によいスタートを切ってもらうために何が大事かを考えた時に『自己の探求』を思い浮かべ、ああいうことをすべきだろうなと思いました。その原体験があったので、いろいろな改善策を私から提案していったんです。



――例えばどんなことを試されたのですか?


千葉先生 4班に分かれて八ヶ岳に行っていたのを、1学年まとめて泊まれる八景島のホテルで実施したり、学科をシャッフルしたり、学生リーダーを育てて簡単なコミュニケーションギャップやインフォメーションギャップを使ったアクティビティを行ったりと、学生同士のやりとりが起こるようなことをしたいと考えて創意工夫を凝らしました。宿泊はせず、学内で完結させ、レクリエーションを取り入れててうまくいった年もありました。そこから、ラーニングバリューさんの協力を得て、チームビルディングプログラムを使って新入生イベントを運営させるリーダー学生を育て、今の新入生イベントの形が出来上がったのです。

コロナ禍前は『自己の探求』を2日間で実施していましたが、今はスクールカレンダーの都合もあり、1日で行っています。2日間を学生に仕切らせるのはかなりの労力がかかっていましたし、今の形は案外コンパクトでよいみたいです。



――桜の聖母短大では、弊社のチームビルディングプログラムをリーダー養成のために活用していただきましたが、文教大学では、リーダー養成プラス新入生交流にと発展的に活用していただいています。このような使い方をされている理由をお聞かせください。


千葉先生 短大は2学年しかないので、先輩学生は自分の代だけマネージすればよかったんです。もちろん下の学年のことも少しは面倒を見ますが、どちらかといえば、学年の中のリーダーを育てようという空気でした。一方、文教大学では新入生の交流合宿を運営するためのボランティアとして学部リーダーを募っています。私にはちょっとしたお手伝いの役割ではなく、新入生交流会を仕切ってもらう機会を与えて学生を育てたいという思いがあったんです



――ヨコだけでなく、タテのつながりや影響力にも期待を込めて活用していただいているということですね。新入生交流会でプログラムを行う際のクラス編成はどのようにされているんですか?


千葉先生 新入生は1学科120人くらいいて、14~15名ずつのユニットにした新入生ゼミというものがつくられます。ですので、国際理解学科に9ユニット、国際観光学科に9ユニットの新入生ゼミができるので、各学科から1ユニットずつ混ぜて28名ほどのクラスをつくって新入生交流会を行い、隣の学科にも知っている人がいる状態をつくることをねらっているんです。



――学科間の交流を図るために最初から2学科を混ぜているんですね。


千葉先生 自分の学科では劣等感を持ってしまうような出来事があっても、学科とは関係のない友達がいて、教室でおはようと言える相手がいるようにしたくて。同じ新入生ゼミにつながる関わりができるのは半数くらいでしょうけど、15週間のゼミの中でさらに人間関係をつくってもらえたらいいと思っています。

また、学部の必修科目の「国際学入門」は両学科同時に大教室で行っていますが、その中でランダムに班分けがされます。学科の垣根を超えてチームワークをとって国際学を学ぶとか、あまりよく知らない人とグループワークやプレゼンテーションをするといった時にも、交流会で同じような体験をしているのでスムーズですよね。科目担当の先生方はきっと感謝していると思いますよ。隣の学科の人とも「おはよう」という機会がいっぱいあって、運が良ければ友達の友達も紹介してもらえて。新入生交流会の体験は、授業にもそれ以外の場面でも、有形無形に役立っていることはあると思います。



――グループワーク形式の授業への抵抗感がなくなるというのは、演習系科目への影響は大きそうですね。


千葉先生 感想の一部を紹介すると、事前アンケートでは、期待していたか?という問いに対して「あんまりしていない」「どちらとも言えない」が多いのですが、「ヒーローインタビュー」のプログラムについては約90%が「交流を深めるのに役立った」と答えていて、ペアインタビューも「とても楽しかった」「楽しかった」が90%以上。事後アンケートでは交流会への参加が「よかった」「すごくよかった」を合わせると93%にものぼります。「長いと思ったけど意外と楽しい1日になった」「学科をこえていろんな人と知り合えて嬉しかった」「フレンドリーになれたから自分の意見を言えるようになった」とか。こういうコメントを見るとやってよかったと思うんですよね。それまでは「大学の授業についていけるかな」など不安があったとしても、こういう気持ちになってくれたら、明日からの授業も楽しみになるんじゃないかと思うんです。新入生の事後アンケートには、「知り合いができて楽しかったから、来年は自分も学部リーダーをしたい」と回答してくれる学生が何人もいるんですよ。



――ロールモデルを見つけることが新たなアクションへの動機づけにもなっているということですね。


千葉先生 新入生交流会が終わった直後だと多いのですが、本格的に募集する秋頃には残念ながら少なくなってしまいます。入学直後の学生の前向きな気持ちを引き上げられるようになればもっといいんでしょうね。



※肩書・掲載内容は取材当時(2024年3月)のものです。

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