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厳しい就職戦線を生き抜く生存戦略は「一人でなく、チームで戦え」【帝京大学】連載4-1

更新日:2023年10月20日

今回の連載では帝京大学八王子キャンパスで開講されている就職活動に特化したゼミ形式の科目「キャリアデザイン演習」の取り組みについて紹介してきました。科目が開講されるようになった背景や期待、プログラムのねらいや講師のファシリテーションについて教職員の思いを聞いてきました。連載の締めくくりに、ゼミの活動を就職活動に役立て、内定を獲得した受講生2人の体験談をご紹介します。2人が受講したのは、チームビルディングの考え方を取り入れたゼミ運営が特徴の樋口ゼミ。「就活」に対する不安、科目履修への期待、仲間とともに就活に臨む環境について、どのように考えていたのか聞いてみました。


経済学部国際経済学科4年 Aさん/ゼミ内のバーチャルカンパニーでは執行部に所属し、部署間連携などゼミ運営の中核を担う。幅広い商材を取り扱う小売・商社に内定。





経済学部経営学科4年 Mさん/ゼミ内のバーチャルカンパニーでは人材育成部に所属し、先輩後輩間のコミュニケーションを促進させるイベント企画に携わる。大手不動産グループの不動産管理会社に内定。

――まずはお二人のキャリアデザイン演習(以下:キャリゼミ)の履修のきっかけを教えてください。


Aさん 私は就職活動に向けた不安、そして社会人になるにあたっての不安を解消したいと思ったからです。高校までとは違い、大学では先生から進路に関する情報提示はなく、学生同士にも情報共有の場がないことに不安を感じていました。学科が同じでも「就活どうなってる?」と聞いても、言いたくなさそうな人もいましたし。2年の秋頃から就職活動を教えてくれたり情報共有したりできる場はないかと考え始めてキャリゼミのことを知り、11月にゼミに入るための選考を受けました。


Mさん 私も就活に力を入れたいとは思っていたのですが、履歴書やエントリーシートの書き方がわからないし、すべて一人でやることに不安を感じていました。キャリゼミでは3年の4月からエントリーシートや面接の対策ができると聞いたので、入ることにしました。



――キャリゼミは7つのクラスがあって、受講したい先生を選んで申し込むシステムになっているんですよね?


Aさん そうです。ゼミの募集が始まると、ゼミ生が制作した動画が公開され、ゼミの雰囲気や形式を知ることができ、見学会が行われます。ゼミによってはインスタライブ配信や、授業のライブ配信などもあり、それらを見て、自分に合う活動ができるかどうか知ったうえで選択することになります。


Mさん ゼミによって倍率は違うので定員より多い人が応募するゼミでは選考が行われます。私たちのいる樋口ゼミでは希望者が多く、エントリーシートを書いて申し込んで、面接して入りました。



――お二人が数ある中から樋口ゼミを選んだ理由は?


Aさん 私は2つの理由があります。1つは業界や志望企業が未定の人も受け入れてもらえるので、ゼミに入ってからいろんな業界を見ていけそうだと思ったから。もう1つは、頼れる環境と自己成長できる環境があると思ったからです。

キャリゼミはゼミごとに特色があり、ゼミによっては金融業界など特定の業界への志望者を対象にしているところや、就活に役立つガクチカ(学生時代に力を入れたこと=自己PRの材料)をつくる部活動のようなゼミもあります。私の場合、業界知識がなにもないところから就活を始めようとしていたので、業界未定の人でもOKであることと、幅広い業界・企業に進んだ卒業生がいると聞いたことから、樋口ゼミがいいと思ったんです。

また、不安を先輩に相談できるような「頼れる環境」が欲しいと思っていた私にとっては、「ブラザー制度」といって、3年・4年で混合の班をつくって活動をする仕組みがあることも樋口ゼミの魅力でした。さらに、4年生になると「バーチャルカンパニー制度」といって、学生が主体となってゼミや授業を運営する役割を持つようになります。ここなら就活だけでなく、社会人になる準備期間としてもキャリゼミを利用できると思ったのも、選ぶ決め手になりました。



――ブラザー制度とバーチャルカンパニー制度は、樋口ゼミならではのものですか?


Aさん 似たような活動をしているところもありましたが、明確な制度として行われていて、どんな活動を行っているのか「見える化」されていたのは樋口ゼミだけでした。また、他のゼミはある程度進む業界が絞られているところが多く、いろんな業界・企業の話を聞けるのは樋口ゼミだけかなと思って。入る前から「この環境なら大丈夫」という確信が持てました。



――なるほど。そうだったんですね。ではMさんはどうでしたか?


Mさん 複数のゼミを見学しましたが、ゼミの雰囲気に活気があったことと、私も志望業界を決めていなかったので幅広い業界の卒業生を輩出していると聞いたことから樋口ゼミにしました。「ホームカミングデー」といって、いろんな年代のOB・OGが集まって食事をしながら話をする機会もあると聞いたことや、4年生の先輩に気軽に就活の悩みを相談できるブラザー制度があることも魅力的でした。



――ところで、樋口ゼミでは、3年生がゼミに加入するタイミングでチームビルディングのためのプログラムを行うと聞いています。


Aさん はい、例年、ゼミが始まる前の春休み中に、樋口先生と新3年生を対象に行われています。ゲームや自己紹介などのプログラムを通して3年生の結束力を高めるためのものです。



――その時の体験で覚えていることはありますか?


Aさん ゼミに誰も知り合いがいなかったので、丸1日かけてチームビルディングを行うと聞いて不安もありました。でも、知らない人とチームを組むために用意されたプログラムで、インタビュー形式の自己紹介など、話しにくい人とも話さないといけない設定になっていたので、メンバー間の交流ができたと思います。チームで協力しないといけない場面が多いプログラムで、自然とチームの結束力が高まっていったんじゃないかと思います。特に印象に残っているのは、みんなで発言しあいながら地図を描くゲームです。口頭だけで情報を伝え合うルールは難しかったですが、話し合うことで場が盛り上がったことが印象に残っています。


Mさん 2人でペアになって自己紹介や趣味の話など長い時間をかけてじっくり話し合い、相手を変えながらローテーションで話す時間があったことが印象に残っています。初対面の人とそんなにじっくりと自己紹介しあうことなんてなかったのですが、その時間があったので同じ班の人の特徴がわかって、すっかりみんなと仲良くなれたのを覚えています。


Aさん 最後には班の人とメッセージカードを交換しましたが、相手の良いところだけでなく、アドバイスも率直に書くことになっていたので、私は自己分析に近いなと思いました。「これから仲良くなろうね」だけでなく「もっとこんなことを話してくれたらいいの」にといったことが書かれたカードをもらって、自分はこう見えていたんだなと気づかされて。

その日の体験が最初の自己分析になったと感じました。


Mさん 私は「Mさんは場を明るくしてくれるね」とカードに書いて褒めてもらえたのを覚えています。自分では気づかない良いことを見つけてもらえて、自己分析の参考になりました。



――まずは同級生とチームビルディングを行い、4月からは4年生とともにゼミでの活動が始まるわけですね。ゼミのおおよその授業の流れを教えてもらっていいですか?


Aさん 授業は週1回で、3年前期は自己分析を行って就活の基礎を固め、徐々に面接やグループディスカッションの練習を取り入れていきます。後期は自分の培ってきた力を発揮するための実践が中心になりますが、面接練習のフィードバックを聞いてさらに自己分析を深掘りする機会も設けられています。3年生の10~11月にはバーチャルカンパニーの部署配属も決まり、次のゼミ生の選考会の運営など、4年生に向けて徐々に活動も増えていきます。



――樋口ゼミの特色である「ブラザー制度」はどのように機能するのでしょうか?みなさんの就職活動にどのような影響があるのでしょうか?


Aさん 樋口ゼミには1学年25人ずついるのですが、3年生、4年生それぞれ3~4人で1つの班をつくって、自己分析などの課題をフィードバックする仕組みがブラザー制度です。1:1でペアになると偏りがでるので、複数人の班で複数の視点からフィードバックしてもらうことでより深掘りできるようになっています。班の編成は2年生のゼミ生の選考終了後に行われます。バランスを見て4年生を班に振り分け、3年生は4年生メンバーに合わせて構成しています。



――振り分けのバランスとは?


Mさん 振り分けを担当するのは私が所属する人材育成部(バーチャルカンパニーの部署名)です。ゼミの志望理由書を見てどういう子なのかイメージして、できるだけいろんな人と仲良くなってもらうために、学部や志望業界が重複しないようにバラすようにしています。



――同じ業界志望を「集める」のではなく「バラす」んですね。それはどうしてですか?


Mさん 3年生の4月の段階では、自分ではイメージしていない業界に触れてみたり、考えてもみなかった業界に向き合えるチャンスがまだまだあります。私たちをブラザー班に分ける時も、先輩がそうやってバラバラに組んでくれました。


Aさん 4年生もいろいろな業界・企業に進むため、3年を業界で分けてしまうと班の中で人数のバランスをとるのが難しくなるということもあると思います。4年が教えやすくするために3年をバラバラにしているという側面もあるかもしれません。



――ブラザー班は1年間ずっと同じですか?


Aさん ブラザー班のメンバーはずっと同じですが、後期からは面接などの実践練習も始まるので、授業計画部が構成してくれる「シャッフル班」を活用して、他の班のメンバーから自己分析のフィードバックをしてもらう機会もつくります。



――いろんな人と知り合う機会が用意されているんですね。先日インタビューしたキャリアセンターの宮田さんに「樋口ゼミはチームビルディングゼミとして有名」と聞いていましたが、班の枠を越えてお互いに関わり合いながらゼミに取り組んでいることに由来しているんですね。


Aさん ゼミの活動を重ねるごとにチームができていくと実感できる機会が何回もありました。私はこのゼミの一番のねらいは「タテとヨコの繋がりを強くする」なのではないかなと思っています。タテとヨコを繋ぐためのイベントがたくさんあって、それを通して交友関係が広がって仲間が増えていくという意味でも「チームビルディングゼミ」と言えるのではないでしょうか。


Mさん 自分たち主導で行う活動が多いので、ゼミ生同士も自然と仲良くなっていきますね。他のゼミの友人に聞いても、「私たちはここまで学生が主体となってゼミの活動を計画して運営していないので、樋口ゼミはすごいね」と言われます。


※肩書・掲載内容は取材当時(2022年11月)のものです。

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