千葉工業大学工学部では新入生の大学適応をスムーズにするため、学科別の新入生ガイダンスを行っています。2021年からはチームビルディングプログラム『自己の探求』の一部を機械電子創成工学科の新入生ガイダンスに活用していただいておりますが、そのきっかけをつくってくださったのが教学センター職員の伊藤美奈さんです。弊社プログラムの採用の背景や導入後の先生方の反応について話をお聞きしました。
――新入生ガイダンスに初めて弊社のプログラムを導入いていただいた当初から伊藤さんにはご担当いただいているそうですね。
伊藤さん そうですね。私は貴社で開催されたセミナーにプログラムを受けに行かせていただいたことがあるんですよ。他にも2~3大学の方が来られて、一緒にグループワークを体験しました。
――そうですか。その時のことで覚えていることはありますか?
伊藤さん もう1人の職員と参加させていただいたのですが、性格分析のようなものをして、その結果を視覚的に見ることができたのが面白かったです。一緒に体験した職員とはまったく性格が違うので、真逆の結果が出て、そういうものが目で見てわかると学生も楽しいんじゃないかと思いました。
――「あなたの学習スタイル」というプログラムですね。その後で「記者会見」も体験されたのでは?
伊藤さん 自由に話してくださいといわれると発言する人が偏るというイメージがあったんですが、記者会見形式だと絶対に自分が発言する順番が回ってきますよね。主役になりたいわけではないんですが、自分が話す機会が絶対に与えられるというのが、なんだかいいですよね。それに、私はしゃべるのが苦手なので、質問されて答えるスタイルが良かったです。自己紹介って自分からしゃべっていかなきゃいけないイメージがありますが、このやり方なら、コミュニケーションが苦手な学生にもすごくいいんじゃないかなと思いました。
――新入生ガイダンスで使うプログラムは、職員から先生へいくつか紹介されるとおっしゃっていましたが、どのようなプログラムかを把握するため、実際にいろいろと体験されているんでしょうか?例えば、伊藤さんはプロジェクトアドベンチャーなども体験されたのですか?
伊藤さん ありますね。体を動かすプログラムなので本当に体力勝負でした。
――私は「みんなで体を動かして共同で作業する」程度のイメージしか持ち合わせていないのですが、体験された伊藤さんから見て、弊社のプログラムとはどのような違いを感じましたか?
伊藤さん プロジェクトアドベンチャーの方が頭を使わず、体だけ動かして楽しいことは楽しいんですが、女子の意見はすごく分かれましたね。記者会見のように特に性別に関係ないものを選んでも、男女比率によっても進め方が違うので、その学科の特性は現れるのですが。どうしても女子が多い少ない学科もあり、グループに女子が1人しかいないと体を動かす系のプログラムはやりにくいのかもしれません。
――なるほど、参考になりました。他社のさまざまなプログラムがある中で、伊藤さんはなぜ弊社のプログラムを推薦してくださったのですか?
伊藤さん たまたま機械電子創成工学科を3年ぐらい担当していたのですが、ある先生が「学科で新入生ガイダンスのプログラムを組むのはかなり負担なんですよね」っておっしゃったので紹介させていただきました。その先生も、以前ラーニングバリューさんに興味を持ってセミナーに参加したことがあるそうで、プログラム体験はしなかったそうですが、「どんなところですか」と聞かれたので、「初年次教育にも使われるプログラムも持っていらっしゃるので導入してみたらどうですか」ってお伝えしたんです。
――そうでしたか。導入後の先生方の感想はいかがでしたか?
伊藤さん 「自分たちはコミュニケーションの専門家ではないので、専門の人にやってもらってよかった」と言われました。その他にも「ある程度、友達ができていたり、グループができたりしていて授業運営がしやすい」とおっしゃっていました。実は、初めて実施した時は、1つだけ先生のグループを組んで参加させていただいたんです。学生に混じって同じグループでやるかどうかも検討したんですが、学生を萎縮させてしまうんじゃないかということになって。教員グループで体験してもらいましたが、「面白かった」とおっしゃっていて、そこから気に入っていただいています。
――お役に立ててよかったです。新入生ガイダンスは授業の一環とみなしているとのことですが、どのように実施されているのですか?
伊藤さん 昨年度までは初年次教育の授業の一環として扱っていました。このオリエンテーションだけではなく、履修指導などすべてを含めて4コマ分、授業時間でいえば4時間分を単位修得のために行ってもらっていました。
今年度は初年次教育には含めず、授業としてではなく、あくまでもガイダンスの一環というふうに位置付けが変わりました。必修性は少し薄れましたが全員に出てもらうことになっています。
――授業の一環ではなくガイダンス扱いにされた理由はご存知ですか?
伊藤さん 初年次教育に別のプログラム、具体的には情報処理分野の導入部分を組み込むことになったからです。言葉は悪いですが、他のプログラムに押し出されてしまった形で。ラーニングバリューさんのグループワークは授業には関連させずに、ガイダンスの時に新入生向けに実施することになりました。入学式の前後に実施するので新入生も出席してくれますし、特に支障なく運用できています。
――プログラムを受けた学生さんの感想はいかがですか?
伊藤さん アンケートでは「自分から友達に声をかけなくても、最低でもグループを組んだ人とは友達になれる」という声があり、入学して最初にやることとしての効果はかなり良いようです。
――新入生ガイダンスに外部業者のプログラムを活用することについて、伊藤さんが課題に感じておられることはありますか?
伊藤さん 業者によって色が出てるとも言えるのですが、学科による差があるのが現状です。先生方が情報共有してくだされば温度差がなくなり、学生さんの満足度もさらに上がるのではないかと思っています。
――「あの学科のほうがいい」と学生さんが他学科をうらやましがるようなこともあったりするんですか?
伊藤さん 人気のテーマパークに行ったり、1泊2日で旅行のようなことをしたりする学科もあるので、華やかさだけが目立ってしまい、うらやましいという声が出るんです。
――予算や内容についてはいかがですか?
伊藤さん ギリギリ予算内には収まっています。テーマパークに行くといっても、ちゃんと課題は提示されていて、会場でデータを揃えて答えを見つけて、グループでまとめて発表も行うようなプログラムになっています。発表会で優秀賞を受賞すると表彰式も行われるような内容で、他の学科の学生が思うほど簡単ではないのです。
あまり評判の良くなかったプログラムや業者がいたら、職員が動いて、次年度は意図的に他の業者を紹介するというようなこともあります。
――なるほど。テーマパークが舞台とはいえ、単なる遊びで終わっているわけでないから継続できているのでしょうし、十分な満足度を提供できない業者は選択肢に入れない仕組みになっているんですね。
※肩書・掲載内容は取材当時(2024年6月)のものです。
Commentaires