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【清泉女学院短期大学】連載2-3/深い学びを引き出す教員のファシリテーションとチームワーク

更新日:2020年4月28日

入学前教育からスタートする「初年次教育プログラム」を皮切りに、2年間にたくさんの行事、活動に取り組んでいる清泉女学院短期大学の幼児教育科。「清泉ならではの保育者養成」を特徴づけるために始まったさまざまな試みは、実に多岐にわたっており、教員のみなさんの負担も決して少なくはありません。学生の学びを支える教員のチームワークやモチベーションはどんな感じなのか? 現場の本音を聞いてみたくて、幼児教育科 専任講師のニ方龍紀先生にそんな質問をぶつけてみました。




――いま、ニ方先生と一緒に2年の担任を務めている方は若手の方なんですか?


ニ方先生 そうですね、僕より若い着任して3年目の方です。



―― 一緒に担任を組んでいる先生の様子をご覧になられていて、気にかけていることはありますか?

いま一緒に組んでいる先生は、とてもいろんなことに細やかに気がつく先生で、何事も学生のケアをしながら進めてくださるので、その点を見習いたいと思っています。担任同士で、よく相談して、コミュニケーションも取っています。



――学科の中で、各先生の個性や得意なことが学校運営にも生かされていると感じる場面はありますか?


ニ方先生 幼児教育科の専任教員は、様々な異なる専門分野を持っているんです。一般的に一つの学科の中では、たとえば心理学科とか社会学科であったとすれば、同じ前提条件をもって勉強した先生が集まっていると思います。でも、幼児教育科では保育や幼児教育はもちろんのこと、福祉、音楽、美術、心理など様々な専門をもつ先生が集まっています。いま僕が2年の担任として組んでいるのは美術・図工の先生です。専門分野が違うとそれぞれアプローチが違うから、チームをつくったときの面白さがありますし、得意分野が違うので分担しながら学生と関われるメリットはあると思います。 。



――少子化時代に生き残りへの道を考えると、学生に選ばれる短大であり続けるために、学科の取り組みについては、どんな展望がありますか?


ニ方先生 高校生には「こんな行事があって楽しいよ」だけでなく、どうやったら「楽しいだけでなく、いろいろとためになる」と伝えられるのかな、と考えています。



―― この学科でいろいろなタスクに対応するうちに、教員としての気持ちになにか変化はありましたか?


ニ方先生 「大学での学び」というものへのイメージが変わりましたね。これまでは「大学は自分で勉強するところ」というイメージがありました。この学科に来て、それ以上に必要なのは「きっかけ」なのではないかと思うようになりました。

学生に学んで欲しいこともあるし、きっと学生にとっても学んだら楽しいことはあるだろうし、現場で学んだことが活かせることもあると思います。でも「じゃあこれを置いておくから自分で勉強してね」と言うだけでは、学生はその面白さに気づかないという部分があると思います。行事や実習の繰り返しの中で、学生が気づくとか、実際やってみて理解していく姿を見て、そういう仕掛けやきっかけを提供することが必要だと思うようになりました。教員も「学生が学んで、わかってくれた!」って瞬間があるとうれしいですね。「きっかけ」という点で、学びのイメージが変わった気がしますね。



――「学ぶ」というのは、学生の中から自発的に湧いてくるものだけでなく、教員による仕掛けやきっかけがあってこそ、花開く部分もあるのではないか、ということですね。


ニ方先生 学生は自分の中にある学びたいことや興味関心をうまく表現できなかったり、自分でもそういうものがあることに気づいていなかったりするかもしれませんよね。うまく仕掛けることで、それが引き出されてくるように感じます。それは学生に向けてたくさんの仕掛けがある保育者養成の忙しい2年間を経験しているからこそ思うことかも知れません。



――学生の2年間に伴走するのはしんどいことかもしれませんが、先生の表情を見ていると、面白いと感じていらっしゃるようにも見えます。


ニ方先生 学生にとっては充実した面白い2年間にしたいと思っていますし、僕たちに教員にとっても「この瞬間、学生に伝わった」と気づくのは面白いことなんですよ。



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 今回取材をして強く感じたのは、仕組み作りも大切だけれども、その仕組みを動かす先生方が、どのように仕組みの意味を解釈し咀嚼し活用しているか、が重要だな、と言うことです。

 前回、西山先生からは、今の清泉女学院短期大学幼児教育科の初年次教育がどのようなわけで、何を狙って、今の形になってきたのか、をうかがいました。二方先生はその西山先生の想いをキチンと受け取っておられ、学生の学びや気づきの「きっかけ」づくりを自分たちはしているのだ、と仰っておられました。そしてその意味づけをベテランから若手へと伝承する場の1つが「担任制」になっているように感じました。

 実は他にも(雑談の中で出てきた話なのですが)教員間での飲み会や有志での泊まりがけの旅行などで、かなり濃密なコミュニケーションも図られているご様子でした。そのような所謂非公式の場でも先生方は悩みの相談や新しいアイデアの共有などもされていらっしゃるのでしょう。

 CummingsとWorleyが示した組織開発の4つのポイント(右図)の中で、仕組み作りというのは、上の「戦略の観点」、右の「マネジメントの観点」、左の「構造の観点」の3つの観点にあたると思います。そしてその仕組みに魂を入れるのが、下の「人間関係の観点」と言えるのではないでしょうか。


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