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【大東文化大学】連載1-1/カギは教職協働&情報共有。チーム力で挑む教育改革

更新日:2020年4月28日


大東文化大学は東京都板橋区と埼玉県東松山市にキャンパスを持つ、文系・スポーツ健康科学系の9学部を擁する中堅大学。2023年の創立100周年に向けて「DAITO VISION 2023」で6つのビジョンを掲げ、43のプロジェクトが進行中です。中でも力を注いでいるのが教育改革。2016年度には「大東文化を元気にする学生リーダー育成プログラム」をスタート。学内有志の教職員による仮想組織が運営を担い、学生の主体性を引き出すさまざまなプロジェクトが学内で動き出しています。


今回の連載では「教育の大東」の実現を目指し、学内における学びの場づくりを推進し、教職員連携の舵を取る学長 門脇 廣文 先生のお話をご紹介します。





学生の主体的な活動を促す場をつくり、大学を元気に

――2017年に学長に就任されてから、いろんな改革に着手していらっしゃいますが、学内における学生の主体的な活動を推進する「Daito Education PLUS(大東エデュケーションプラス/以下“DE+”)※注1 」の発想はどこから生まれたものなのでしょうか?


門脇先生 これはラーニングバリューの方から聞いた北九州市立大学の「421Lab.」※注2 の取り組みにヒントを得たものです。これまで学生が活動する場はクラスやサークルがベースとなっていましたが、そういうところに入っていない学生でも、正課の授業外で活動できる場を与えられないだろうかと思っていました。そんな時に「421Lab.」では(学科やサークルの枠にとらわれず)学生が主体となって活動していると聞いて、本学でもできるのではないかと思ったのです。


――クラブ・サークルではなくクラス活動でもない活動の場を、新たに学生に与える必要性を感じたのはなぜなのでしょうか?


門脇先生 そういうことをしない学生は大学の中に滞留せず、バイトなどに行くだけで学生生活が終わってしまう。大学への愛着心もないし、何かをしたという達成感もない。クラブやサークルに入っていればなんとなく仲間意識のようなものが芽生えますが、そういうことが全然なければ誰とも関係を持たずにパーッと過ぎていきますから。大学との関わりの少ないそんな学生にとにかく大学に来てもらいたくて、居場所となるDE+を始めました。

「421Lab.」では20くらいのプロジェクトが進行しているそうですが、本学のDE+ではまだ4~5プロジェクトしか動いていないので、もっと増やしていきたいと思っています。


――そういう大学に滞留しない学生が増えたのは、ここ最近の話ですか?


門脇先生 そうですね。以前はうるさいくらい居たのに(笑)。きれいになる前の板橋キャンパス※注3 の1階には学生が溜まるスペースがあっていつも人がごちゃごちゃしていたし、先生方も研究室を開放していて学生もうじゃうじゃいたんです。それがだんだん居なくなって…。例えば東松山キャンパスの研究棟は、中に入ると学生が居ることもあるけれど、普段は静まり返っているように感じます。学生の溜まり場がないんですよ。そういうこともあってか学生が授業終わるとサーッと帰っていっちゃう。


――なるほど…。最近はバイトに励む学生さんも多いと聞きますしね。ちなみに先生は、学長就任前に一教員として、学生の居場所をつくるために取り組んだご経験などもあるのでしょうか?


門脇先生 中国文学科の学科主任の時に、それまで教員がやっていた春の新入生オリエンテーションや合宿の運営を、学生にやってもらうように働きかけたことがありますね。その時やりたいという人が出てきたので、それから4年間は学生にやってもらいました。すると、それがきっかけとなって、オープンキャンパスの学科紹介なども学生にやってもらおうという動きがでてくるようになったんです。学生も頑張ってパネルをつくるなどして工夫してくれましてね。学生の力を信じれば、大東生はちゃんとやる。だから、そういうのを広げたいなという気持ちはありました。


――学生の力を信じて活躍できる場を広げる戦略の一つがDE+にあるということですね?


門脇先生 学生には、“チーム”で何かに取り組んでほしいと思っていました。そう考えるきっかけになったのは、2012年の第1回教育サロンで松山大学の熊谷太郎先生のアクティブラーニングの話を聞いたことです。ゼミでは学生に調べさせて発表させるといったアクティブラーニングは行っていたものの、熊谷先生の話を聞いて「大人数の授業でそういうことができるのか」と刺激を受けました。今ではアクティブラーニングも一般的になりましたが、当時は学生主体で授業を運営させるとか、チームをつくって学ぶという事例は聞いたこともありませんでしたから。


――DE+の活動は、大学にどんな刺激や影響を与えているのでしょうか?


門脇先生 DE+のメンバーには2018年度の入学式の運営を任せたのですが、それをそばで見ていた学生自治会も、「自分たちも負けていられない」と動きだしましたよ。これまで入学式は職員主体で運営しており、自治会は職員の指示のもとで機材搬入などの手伝いをしていたんです。それが、DE+のメンバーが舞台に立って入学式を進行しているのを見たのですから。次年度に向けて「これをやりたい、あれをやりたい」と意見を出してくれるようになりました。今では自治会のメンバーで連れ立って学内の文化部のコンサートの手伝いをしたり、運動部の応援に行ったりと、積極的に活動するようになっています。これまでは見られなかった動きで、予想もしない副産物でした。


もう一つの副産物は、職員の変化です。ラグビーの関東大学リーグ戦への応援の意味を込めて、学生がチームカラーの緑色のものを身につけるムーブメントを盛り上げていたのですが、それが教職員にも広がっていきましてね。聞いた私も緑の服を着ていましたが、それがどんどん広がって。これまで応援席にいるのは保護者会くらいだったのが、今年は学生も教職員もたくさん集まり、ユニフォーム姿で応援する人もいて盛り上がったそうです。こういうところにも、少しずつ大学が上向きになってきているのを感じますね。





※注1 Daito Education PLUS

大東文化大学では、2017年、学生の新しい学びの場の提供と、社会で活躍する「大東人」の育成をめざして「Daito Education PLUS」を結成しました。学科の授業や学習に加えて(PLUSして)、課外活動を中心に学内のさまざまな活動を学びの場に変えて、学びを通して成長することをめざす取り組みです。この学生リーダー育成プログラムは、こうした活動に参加する前の基礎的能力を養うことを目的としたものです。大東文化大学を元気にし、社会で飛躍する「大東人」を目指す人のための基礎プログラムです。

※注2 北九州市立大学地域共生教育センター(通称:421Lab.)

地域社会における実践活動を通じ次世代を担う人材の育成を目指すとともに、北九州市立大学の地域貢献活動の一翼を担うことを目的に、2010年4月に設置されたもの。

<参照リンク⇒https://www.kitakyu-u.ac.jp/421/

※注3 板橋キャンパス整備計画工事竣工は2007年、東松山キャンパス整備事業完了は2014年



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