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【大東文化大学】連載3-3/学生の力を信じて、待つ。気づきを促すことが教職員の役割

更新日:2020年4月28日

『Daito Education PLUS(以下、DE+)』の活動を支えているのは、大学内の各部署で行われている学生課外活動を一箇所にとりまとめて、プロジェクトの場を学生に提供しているDaito Education PLUS Center(以下、DE+センター)。これは実在する事務組織ではなく、教職員の有志によって運営されている仮想組織です。そのメンバーの一員である総合企画室総合企画課 課長の植付あゆりさんに、活動継続の課題や学生を支える思いについて尋ねてみました。



――2018年9月には『大東文化を元気にする学生リーダー育成プログラム』が開催され、DE+2期生の募集も行われました。これまでDE+として活動してきた学生たちは、現在どのような活動を行っているのでしょうか?

植付さん DE+の1期生50数名は進級して参加者が減り、6月の振り返りにも全員が参加したわけではありません。でも、今活動している学生は引き続きいくつかのプロジェクトに携わっています。9月の『学生リーダー育成プログラム』の際は、事前の説明会や当日のプログラム終了後に行われるDE+のスタートアップガイダンスも、学生自ら資料をつくって説明してくれました。自分たちで1年生を仲間に入れたいという強い思いもあるので、職員が何も言わなくても一から自分たちでやってくれたんです。各プロジェクトにおいても、自分たちから動いてミーティングをしたり段取りを付けたりできるようになって成長を感じます。そういうことができるようになっていることが、彼らの自信になっていればいいなと思います。

――9月に『学生リーダー育成プログラム』を受けて、DE+としてプロジェクトに参加して、1年間で一通りやり終えた人は、今後どうしていくのでしょうか?

植付さん DE+は、その時々でプロジェクトの連絡の中心になる学生はいますが、組織として代表を置いているわけではないし、全体のリーダーもいません。3年生になるとキャンパスも分かれるし、授業やゼミ、教職などで学生も忙しいようです。3年になったから引退ということにはしていませんし、関わりたい人はずっと関わってくれています。先輩学生が今後どういう関わり方ができるかということについては学生に考えてもらっています。

――DE+をサポートする教職員の仮想組織の『DE+センター』のメンバーはずっと同じなのですか?

植付さん 同じ人もいますが、変わっています。できるだけ教職員にも多く、長く関わってほしいですし、新しいメンバーも増えてほしいとは思います。学長があちこちでお話ししてくださっているおかげで、職員間でも「DE+でしょ」と認知度は高まっているんですが、やはりメンバーに加わるとなると…

――携わっている方の負担は大きそうに見えますよね…

植付さん 教職員が関与する部分を少しずつ学生に渡していきたい、という希望はずっと持っています。DE+の立ち上げ当初は、段階的に学生が自主的にやる割合を高めて、教職員の関与度が少なくなっていくことを想定していたんですが、その通りにはなっていない部分もあるかもしれません。

――今後もさらにDE+が携わるプロジェクトは増えていくのでしょうか。

植付さん DE+のプロジェクトの一つに「自分たちでプロジェクトを考える」というものがあるのですが、学生にどんなことをしたいかアンケートをとったら、「留学生と何かしたい、留学生に教えてあげたたり教えてもらったりしたい」という希望が出てきました。それをヒントに国際交流の部署に何かできることはないか、ニーズを探っています。

各部署とも学生と一緒に何かできないか、何かしたい、という希望はもっているんです。でも、DE+は学生を単に労働力として使うためのものではないので、引き受ける部署側でも学生の様子を見守ってくださる方がいるとすごくいい形で活動を進められるのですが。そのあたりのコーディネートが必要だと思っています。

――DE+側でやりたいこともあるけれど、受け入れ先でプロジェクトを見守る存在がいないと困るという問題もあるわけですね。大人の目や手が足りない問題を解決するために、周りの教職員をどう巻き込んでいこうと考えているのでしょうか?

植付さん DE+のコンセプトや、「学生の力を引き出すために様子を見たり待ったりしてあげてくださいね」ということを、DE+センター(DE+の活動をとりまとめる教職員の仮想組織)の我々が説明して、理解してもらうようにしています。

――「手を出さないで待つ」というのは、プロジェクトの担当職員の方にはどのように伝えているんですか?

植付さん それは、入学式のミーティングの過程で、スタッフ間でも議論になりました。例えば、いつまでにこれをしないといけない、と期限が決まっていることは大人がレールを敷いたほうがいいのか、それとも言わないほうがいいのか、と。全部が全部うまくいかないでしょうし、間に合わなければ大人が介入していくしかないんですが、「できるだけ学生を促す」という姿勢を持つことが、職員にとっても勉強になるのではないでしょうか。これまでスタッフとして一緒にやってきた職員は、それぞれの視点で学生と関わってくれています。

――DE+の存在は、植付さんはじめ教職員の皆さんの、仕事への向き合い方や、学生への関わり方にどんな変化をもたらしていると感じますか?

植付さん 私自身はすごく勉強になっています。今の担当業務では学生と関わることがないので、DE+のことをやっている時はすごく楽しいんですね。スタッフは全員が2年目、3年目と継続してやっているわけではないので、他のスタッフはどういうふうに感じているかはちょっとこわくて聞けないんですが(笑)。


話はちょっと違うかもしれませんが、地域連携センターでやっているPBLにファシリテーターとして関わっているスタッフの発表を聞いた時に「職員がどこまで関わればいいのか」と、私たち同じ思いを抱えていることを知りました。「学生との関わり方を学びたい」と感想を言う職員もいて、何かしら職員の考え方や学生への関わり方は変化しているんだなと思いました。大学職員なら学生の成長を助けたいという気持ちは持っているし、学生と関わっていない部署でも同じだと思います。その実現の一つがDE+スタッフの活動なのかなと私は思っています。



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「教育的観点から学生が動くのを待つ」という考え方はどこから生まれたものなのか? と言う問いに植付さんは、

「さまざまなプロジェクトを通して、学生達が我々教職員が考えもしないようなアイデアを持っていて、しかもそれを成し遂げるというすごさを見たからでしょうか」とお答えになられました。とても印象的な言葉でした。我々もそのような学生のすごさに触れる機会がよくあります。「信じて待つ」とはよく使われる言葉ですが、「すごさを知っている」ことはかけがえのない体験なのだと思いました。「信じる」と言うよりも「知っている」からこそ待てる、待つことが楽しみになる、と言うことなのではないかとも思いました。

 そしてそういう学生のすごさを見ることのできるDE+は、学生の学びの場になっているばかりではなく、教職員の学生とのかかわり方の学びの場になっているようでした。

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