社会で活躍する「大東人」の育成を目指す「Daito Education PLUS(以下、DE+)」の立ち上げに携わり、課外活動でのアクティブラーニングを通して学生が成長する姿を見守っている田中博史先生。DE+ の学生が最初に受講するリーダーシップ研修にヒントを得て、自らの授業の改革を行ったそうです。学生が主体的に動き出す授業をいかにつくろうとしているのか。その実践方法を教えていただきました。
――DE+に携わることで、田中先生の教員キャリアに何か影響したことはありますか
田中先生 アクティブラーニングの手法については、自分の授業にも活かすことができて、これまで困っていたことをいろいろ解決できたなと思います。世の中でだんだんそういう授業のやり方が主流になりつつあり、僕の授業でもそういう形態でやってきました。ですが、テーマを与えて、時間を設定して、用意スタートでグループワークをしても、結果的にうまくいかずに怒ってしまったりしていて。でも、リーダーシップ研修で行うラーニングバリューさんの「自己の探求」のプログラムの手法を取り入れてみたら、すごく回転が良くなったんですよ。
アクティブラーニングを円滑に進めるには、グループで目標を掲げて、いろんなツールを先生が用意して、やり方を示すのが大切だと思います。学生にもグループワークのやり方を理解してもらえて、授業がよりスムーズになりました。ラーニングバリューさんのプログラムの手法も借りて、今は僕の授業ではいろんなツールを用意しています。
――シートがあるだけで授業はそんなに変化しましたか?
田中先生 こういうツールがあるだけで全然違います。話し合いがもっとも活性化するのは、白紙にキーワードを書かせて、学生同士で質問しあう時です。これも、僕が「教育サロン」で体験したことを参考にさせてもらったものです。
――「自己の探求」でも行う実習の方式ですか?
田中先生 「自己の探求」そのままではなく少しアレンジしていますが、白紙に書いたキーワードをもとに、40分間グループ内で質問し合うというやり方です。みんなワイワイと盛り上がりながらやっていますよ。そして、次の週に各チームでどういうことを話したかをプレゼンテーションさせて、僕から総まとめの話を少しさせてもらって、講義とグループワークとプレゼンテーションから何を得たかをレポートにまとめてもらう。一連の取り組みについて、自分の関与度はどれくらいだったかについても書いてもらうようにしています。
――どんな授業でアクティブラーニングを取り入れているのですか?
田中先生 副専攻の学生と社会学部の1年生向けの合同クラスで、120人近い学生がいる授業で取り入れています。8人グループが14グループあるのですが、今のところ成功していますね。特別な教材を買わなくても、白い紙を1枚使うだけで、すっかり授業が変わっちゃいました。正直こんなにうまくいくとは自分でも思いませんでした。
――少人数のゼミでなく、大人数クラスでも、学生が主体的に授業に取り組む仕掛けをつくることはできるということですね。実施に際して気をつけていることなどはありますか?
田中先生 最初の授業に入る前に、なぜ講義形態でなくて、グループワークをやるのかという意味を学生には説明しています。「これから学年が上がっていくと専門課程の授業で、急に『このテーマについて話し合いをして』と言われることもあるよ。そんな時にどうする?社会に出てからもグループで話し合う機会は多いよ。チームを活性化させていい話し合いをするにはどうしたらいいか、今のうちから学んでおくことは大事だよ」などと話すと、ナルホドと思って取り組んでくれる学生も出てきます。それに、僕のこういう強面の風貌で「やらなきゃコワい」と思う学生もいるようで(笑)。そういう自分のキャラクターもうまく活用しています。
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田中先生とお話をさせて頂いてキーワードを3つ挙げるとすると、「フラット」「社会」「何のために」の3つではないかと思います。
1つめの「フラット」。これは先月の門脇先生から感じた印象と全く同じです。この姿勢だからこそ、若手の事務職員の方々も先生にどんどん意見されるし、DE+の仮想組織が動くのだと感じました。
2つめの「社会」。田中先生の視線の先には常に「社会」があると感じました。社会に出たときに役立つ経験や学びをどうやって学生に提供するか。DE+でもご自身の授業でも、そういった観点で設計されているのがよくわかりました。
最後に「何のために」。今回のアクティブラーニングのお話は、学生が伸び伸びと話し合えるツールの工夫や授業のやり方のお話のように聞こえますが、田中先生の「何のために」の姿勢が(そしてその先にある「社会」を見据えた視線が)、学生らの目線で伝わったから、彼らが活き活きと議論したり学んだりするんだと、私は思いました。
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