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【大東文化大学】連載3-2/学生の力を信じて、待つ。気づきを促すことが教職員の役割

更新日:2020年4月28日

2017年に『Daito Education PLUS(以下、DE+)』の1期生の活動がスタート。入学式、図書館での『ビブリオバトル』、新入生歓迎イベント『フレンドシップウォーク』、といった学内イベントの企画・運営に携わるようになり、徐々にDE+への認知も広がっているそうです。先輩の姿を見てDE+に興味を抱く学生も増え、2018年9月からは2期生も動き出しています。活動を見守る職員の目には、学生の姿はどのように映っているのでしょうか?総合企画室総合企画課 課長の植付あゆりさんに話を伺いました。


――DE+1期生で活動した学生は何人くらいだったのですか?

植付さん 2017年に学生リーダー育成プログラムを受けた人は130人くらいで、そのうちDE+のプロジェクに手を挙げたのは50名ちょっと。複数プロジェクトに申し込んだ人もいますが、オリンピック・パラリンピックのキックオフイベントに20数名、入学式に20名弱、フレンドシップウォークとビブリオバトルはそれぞれ10名くらいだったでしょうか。



――学生リーダー育成プログラムを受けた人全員がDE+のプロジェクトに参加するわけではないのですね。

植付さん 学生リーダー育成プログラムを受けるのは、基本的に各学部から推薦された学生なんです。2017年からは学部以外にも対象を広げ、学生支援センターやキャリアセンター、地域連携センターといった部門にも学生を推薦してもらいました。確かに全員がプロジェクトに参加するわけではないのですが、プログラムで得たことを何かしら、それぞれが所属している学部・学科や団体での勉強や活動のなかで活かしてもらえていると思っています。


一方で、入学式やフレンドシップウォークをやった影響でDE+の名前が知られるようになり、「推薦されていないけどプログラムを受けたい」という学生も出てきました。


――募集もしていないのに自分から手を挙げた学生がいる、ということですよね。

植付さん そうなんです。びっくりしました。プログラム当日に推薦されていないけど来たと言う学生が3、4人ほどいたので。それで2018年からは「DE+ 推薦」という自己推薦によるプログラムへの受け入れも始めています。

―― 一連のプロセスを振り返って大変だったのはどんなことですか?

植付さん やっぱり最初は学生を動かすことでしょうか。参加しているのはほとんどが1、2年生ですし、DE+は学生団体でもないので、組織としての形もできていませんから。

最初のうちは職員が調整して、「次はこれ、次はこれ」と学生に示しながら進めていって。スケジュール管理が大変だったという実感はあります。

一方で、大変でもやった甲斐はあったなぁとも感じています。

2017年にスタートしたDE+の活動が一通り終わった後、2018年6月に各プロジェクトの振り返りをしたんです。振り返りの進め方は総合企画課の職員が工夫してくれて、これまでの成果物や写真、関わった教職員のコメントといったものを展示して、それを見ながら自分が関わったこと以外の活動を紹介するというワークショップ形式で「振り返りの会」を行ったんです。

――自分の活動ではなく、資料を見て他人の活動を紹介するということですか?

植付さん そうです。活動した人にインタビューをして、それをまとめて、その人の代わりに発表するんです。全員がインタビューされるわけですから、当然、自分で自分の関わったことも振り返ることになります。

その場では、職員が「こうしたら」なんて言わなくても、自分たちでワークショップを進めて、気になることに付箋を貼って考えたり、気づいたことを板書したりする姿を見ることができました。それはもう、すごく積極的で前向きで、十分彼らの成長を感じられました。振り返りは本当に大切だなとも思いました。

――プロジェクトを第3者の視点で振り返り、全員でDE+の改善点を考える。そうすると他の人のプロジェクトも「自分ごと」になるようにも思います。

植付さんが「振り返りが大切」と思った理由を、もう少し詳しく教えてもらってもいいですか。

植付さん 「プロジェクトをただやるだけでなく、つくる過程も振り返りも大事にして、学生にこれができるようになった、身についたという実感をもってもらいたい」というのがDE+の大きなコンセプトなんです。例えば、スケジュール管理やメンバー間の情報共有など、教職員が「もうちょっとこうしてほしかった」と感じたことも、振り返りをすると自分たちで気づくんですね。


――大人が気づいたことを指摘するのは簡単だけど、本人が考えて、本人から「こうしたらよかった」という言葉がでてきたほうが、より気づきは深いですよね。

学生には学びが多かったようですが、サポートする職員側はいかがでしたか?

植付さん DE+に関わる教職員は実在の組織に所属するわけではなく、仮想センターとしていろんな部署が関わりながら運営していこうと掲げていたのですが、実際はうまく機能していない面もあります。先ほども言ったように、学生に何かをしてもらうためにはこちらが待ったり、振り返りの時間を設けてあげたりしたいのですが、余裕がないとなかなか対応できなくて。すると、(職員が)自分たちでやってしまったほうが早い、となってしまって・・・学生は成長していますが、職員側にはまだまだ課題があるし、学生が気づいて行動できるようになる場をつくるのが難しいなと感じています。



――植付さんがおっしゃる、「業務として考えるなら職員がやれば早く進むのだけれど、教育的観点から学生が動くのを待つ」という考え方はどこから生まれたものなのでしょうか?

植付さん 私には今までそういう観点はなかったのですが、DE+の活動を通してそう考えるようになったのかなと思います。


――私はそこに興味があります。教育に携わられる方の多くは、できないことをできるようにすることが仕事だし、時間は有限ですから、つい手を差し伸べられますよね。「こうすれば・・・」と教えたくなってしまう。

植付さんはそれをせずに「待つ」と仰っているんですよね。待つことに意識が向くようになったのは、何かのシーンで感じたことがあったからでしょうか?

植付さん さまざまなプロジェクトを通して、学生達が我々教職員が考えもしないようなアイデアを持っていて、しかもそれを成し遂げるというすごさを見たからでしょうか。

――例えばどんなことがありましたか?

植付さん 入学式では、式典中に映す映像や、学生団体によるステージパフォーマンスの企画には大人の発想では出てこないものがありました。

例えば映像ですと、本学は箱根駅伝で有名なので、陸上部の選手がたすきをリレーして入学式が進んでいくという企画を考えてくれたんです。予め卒業生から渡されたたすきを選手が大学からさいたまスーパーアリーナまで運んでくる映像を撮影しておいて、さいたまスーパーアリーナの扉をあけるとそれが本物の選手の姿に切り替わり、たすきを学長にわたして、学長がそれを新入生代表に渡すというストーリーになっていたんです。

――大東文化大学らしいストーリーですね。

植付さん しかも、この演出には前段があって、学長がで矢を放ち、そこに「たすきを届けろ」という矢文が付いていた、という設定で始まるんです。DE+の学生は、袴姿の4年生がたすきをわたす映像撮るために卒業式でも取材をしていました。学長や陸上部といった出演者との撮影交渉や段取り、入学式当日の出演者へのレクチャーや実際の運営も、全て学生がやっていました。

――確かにそういう姿を見ると、「学生に任せてもできるな」と思うようになりますよね。

植付さん 新入生向けの『フレンドシップウォーク』でも、参加者にわたす記念グッズをDE+の学生に考えてもらいました。これまではタオルなどを用意していたのですが、学生目線で使えるアイテムということでペットボトルカバーやICカードケースを選んでいましたね。


フレンドシップウォークはこれまでは学生支援センターが進めていて、当日の手伝いを自治会組織が担当していたのですが、自治会組織の学生にも、DE+の学生が企画運営から参加するのを見て、刺激になったようです。

――先日、学長にインタビューした際も、学生の変化の一つに、学生自治会の活動が活性化したとおっしゃっていいました。学生同士が刺激しあい、もっと大学を盛り上げようという気運が高まってきているのかもしれませんね。

植付さん ええ、そうなってくれるといいなと思います。



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