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【神戸常盤大学】連載4-2/学生に気づきをもたらす学科の枠を越えた学びの場

更新日:2020年4月28日


神戸常盤大学では初年次教育に全学科の学生が混ざり合ってグループワークに取り組むプログラム《まなぶる▶ときわびと》(以下、まなぶる)を導入。入学直後から価値観の異なる他者とのコミュニケーションやチームビルディングを体験できることが、新入生の学びや学生生活に少なからず影響を与えている様子がうかがえます。1年次にプログラムを受講した、現在2年生のこども教育学科のJくん(写真右)・看護学科のKくん(写真左)に、自分自身の変化をどのように感じているのか聞いてみました。





――《まなぶる》で体験したことがほかの場所で役に立ったこと、ありますか?


Kくん 授業のグループワーク全般で自分から積極的に取り組めることが多くなったというか。自分たちが中心になって授業を進めることができるようになった感覚はあります。



――授業ではグループワーク多いの?


Kくん グループワークが多い授業も、講義ばっかりの授業もあるので、グループワークのときだけ光り輝くという感じでしょうか。悪くいうと、でしゃばりなところはあると思いますね。



――「光り輝く」とか「でしゃばる」というのはどんな意味なのかな?


Kくん グループワークって、ほとんどの人はイヤだなとか、あんまり前に出ないでおこうと思うようですが、自分はその反対で、人があんまりやらなそうなことをやりたいタイプ。自分が先陣を切ることでみんながついてきてくれたらうれしいし、あまり深く考えるのが得意じゃないので、考えるよりは先に行動しようとしている面もあります。行動した結果、ついてきてくれる人がいるから、そういう人と一緒にグループワークを進めているようなところはあります。

「働くアリと普通のアリと働かないアリの比率は2:6:2」って法則、人にもあてはまると言うじゃないですか。動かない人2割を動かすのはさすがに無理だと思うけど、普通の人6割なら引っ張れるんじゃないかと思って。やらなければならない状況に追い込んで、やる気のある人を増やして、「私もやらなくちゃ」という雰囲気をつくって活性化している面はあります。



――Jくんはどう?学生生活のなかで《まなぶる》の経験が活かせた場面って、ありましたか?


Jくん 2つあって、一つは自分が積極的になれたということです。高校時代の僕は自分から人に話しかけるということが本当になくて。剣道を頑張るため寮に入って、ひたすら部活をしているような人間だったので。それが《まなぶる》で半強制的に人と関わったことで、自分から話せるようなりました。

もう一つは、《まなぶる》で経験した話し合いの仕組みを部活のミーティングに使えたことですね。



――部活のミーティング? 大学でも剣道部なの?


Jくん いえ。僕もKくんもバレー部なんです。

最近の事なんですが、1学年上のキャプテンの考え方と部員の意見が合わず、先輩と僕たちの代で摩擦が起きている時期があったんです。みんな思っていることを言えなくて、ネガティブな感情を溜めて行っていて、このままじゃまずいなという雰囲気になっていて。みんな辞めて廃部になりそうなくらいヤバかったので、僕はキャプテンに直訴にいって、話し合いをしました。夜も寝ないでずっと言いたいことを言いあって、最終的にはよくわからん感じになって、「僕ら何やってたんだ」と打ち解けちゃったんですが。そのあと、部員全員を食事に誘って、思っていることを打ち明けてもらうという場をつくりました。


Kくん そういう話をするということは聞いていたので、多少は覚悟してその場に参加したんですが、Jくんとキャプテンのやりとりが想像以上に白熱してバチバチで・・・。



――そんなバチバチの話し合いが《まなぶる》の考え方を活かせたということになるの?


Jくん 意見を言い合うことでお互いを知ることができるじゃないですか。相手の話を聞くまでは、勝手に「この人はこう考えているんだろうな」という思い込みにすぎませんが、直接意見を聞くことで、その人の考えが明確にわかります。「思ってたんと違うな」とか「そう考えてるのか、なるほどな」とか。それでみんなのイライラがしゅっと収まったり、解決しようという気持ちになったり。それが《まなぶる》でのグループワークみたいだなと思って、使わせてもらったんです。



――でも、同級生と違って、上の人と議論するのって勇気いるでしょう?


Jくん 僕は自分の殻に閉じこもっていた高校時代のことをすごく後悔しているんです。キャプテンとの話し合いでも、自分の言いたいことをぐっと抑えることもできたんですけど、もっと自分を出していくことにしました。Kくんと同じで「失敗したら仕方ないわ、とにかく後悔せんようにしよう」と思ってぶつかってみた結果、なんとかなっているということでしょうね。



――そこまでやりとりしたら、意見は一致しなくても、「相手と自分とはここが違う」とか分かりあえるよね。


Kくん その議論を聞いて、「前進するかもしれないし、最悪後退するかもしれないけれど、どういう形になっても、もとの空気の悪い感じには戻らないだろう」とは思いましたね。結果的には今は前に進んでいると思います。



――なるほど。お互いに納得できた、ということかな?


Kくん 最終的に僕らを納得させてくれたのは四回生の先輩です。部活に来てくれて、部活の現状や僕らの成長もちゃんと理解してくれたうえで、「キャプテンにはキャプテンの考えがある」と諭してくれて。そのとき、「臨床心理学の授業でも似たようなこと聞いていたはずなのに、なんで忘れていたんだろう」と反省にふけりました。



――なぜそこに臨床心理学が出て来るの?似たようなことってどんなこと?


Kくん さっきJくんが話した「相手のことを受け入れる」、受容の概念のことです。相手のことを無条件に受容することができて、なおかつ完全にとは言わなくとも共感しようという概念のことを思い出したんです。確かにキャプテンがしたいことには気づいてたはずなんですが、自分は受容ができてなかったなと身に沁みて感じて。頭の片隅で、なんでこんなところに臨床心理学が出て来るんだろうと思いながら、これが勉強するっていうことなんだなと思った体験になりました。


Jくん 確かにKくんは先輩の言葉に心打たれて、ボロ泣きしてたもんな(笑)



――入学前の新入生の希望者に『自己の探求』というプログラムを受けてもらう取り組みを昨年(2018年)から始めました。Jくんは入学前にこれに参加していますが、どうして受けてみようと思ったの?


Jくん プログラムを案内する文章がすごく興味をそそる内容だったし、「行っておかないとまずいかな」という怖さもあったし。予定も空いている日だったので軽い気持ちで受けてみましたが、大学に親しみがもてるようになったし、そのときに友達もできたので、結果的に参加してよかったです。



――大学に親しみがもてたというのはどういう意味なんでしょう?


Jくん 僕は入学前にこの大学に一回しか来たことがなかったんです。講義室でプログラムを受けるという体験ができたおかげで、入学してからの学生生活にもちょっとだけスムーズに入れたかなという気はしました。



――今年から、この『自己の探求』に、先輩にもファシリテーターとして参加してもらうことにしました。Kくんはファシリテーターを務めてくれましたが、そのときにどんなことを感じましたか?


Kくん ファシリテーターなので、いつものグループワークのように自分の意見ばかり言うのは違うなと思っていました。でも、新入生も最初は自分の意見を言いにくいだろうから、まずは自分の意見をだして「きみはどう思う?」と聞いてみることにしたので、それはできたかなと思います。



――Kくんのグループの新入生は元気がよかったけど、最初のうちはみんなの共通点にばかり焦点をあてて「僕たち価値観似てるんです」という雰囲気で、議論に深みがなかったんですよ。ところが、途中からKくんがそのグループに加わって、意見の違い焦点をあてだしてから話が深まっていったように見えましたね。


Kくん いつもなら自分から議論をしかける側なんですが、ファシリテーターなので議論を促進させていかなければならないと思って。「こういう意見あるけどどう思う」とちょこちょこ聞いてまわっただけですが。



――Kくんが入ることでグループはすごく活性化していたように見えましたよ。自分なりの試みはうまくいきましたか?


Kくん 概ね成功だったと思いますが、欲を言えば僕の働きかけがなくても自分から前に出てきてくれる(積極的な)人を育てられたらよかったですね。



――それについては、Kくんは押し技が得意やけど、引き技を覚えるとファシリテーションが変わってくると思いますよ。引き技というのは、さきほどの話でいえば共感とか受容とかにあたります。


Kくん なるほど、カウンセラーの要素ですね。自分から選択肢を提示するのではなく、解決策を本人に見つけさせるのがカウンセラーの役割と聞いているので、そこまでいけたらいいですね。





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