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【神戸常盤大学】連載3-3(番外編)/教員とミスターKのグループワークのファシリテーション談義

最終更新: 4月28日

神戸常盤大学で全学科横断の初年次の基盤教育プログラム《まなぶる▶ときわびと》(以下、まなぶる)を担当されていらっしゃる、こども教育学科 講師の大城 亜水先生。この大学に着任して3年目の若手教員の大城先生がグループワークのファシリテーションを行うなかで感じた疑問に、ミスターKが回答しました。





ミスターK 《まなぶる》2年目から、私もプログラムの設計に入らせてもらっています。今年は、前期30コマ(15週)、後期15コマ(8週)の授業のうち、最初の10コマ(5週)はチームビルディングをねらいとする内容のものとして設計しましたが、実際にやってみてどのように感じましたか?


大城先生 まず、チームビルディングをねらいとするワークにはいろいろなものがあるんだなと、単純に驚きました。ですが、同じワークをやっても、面白いという学生と、面白くないという学生が出てくることにすごく疑問に思っています。


ワークの一つに「NASA」のゲームがありますよね。初めてこれを体験したとき、私はまだ前任校に在籍していたのですが、面白かったので自分の授業で実施してみたら学生にすごくウケたんです。ところが、《まなぶる》1年目に参加した学生に聞いたら、「NASAが面白くなかった」というんです。どうしてこういうことが起こるんでしょうか?


ミスターK 先生が通常テキストを使って授業を進めるときには、テキストの章ごとに教えていきますよね。中には、この章を教えないと次の章を教えられないという流れのものもあるかもしれませんが、そうでなければ、必ずしも章の順番通りに教えなくてもいいこともありますよね。でも、チームビルディングはそうじゃないんですよ。


大城先生 順序だててやっていかなければならない、ということですか?


ミスターK 絶対この順番でなければならない、というわけではないのですが。

「NASA」のワークのねらいは“コンセンサス”、つまり全員の合意です。そこに至る過程で起こるさまざまな事柄を体験的に学ぶことができると思うんですね。ただ、実はこれが結構難易度が高いんです。コンセンサスに至るまでには、自分の意見を言うだけでなく、相手の意見を聴いて、それに対して自分の異論を述べて、相手を説得しにいくようなこともあるので。


そういうプロセスって、日本人だからかもしれませんが、同調圧力の強い集団にいる個人にとっては多分しんどいんです。《まなぶる》初年度(2017年度)のカリキュラムでは、授業が始まって2回目に「NASA」を行ったようなんです。授業の初回は、体育館でグループワークを一緒にするメンバーを決めて、少しだけ記者会見形式で自己紹介をしてもらって、2回目にいきなり「NASA」すなわちコンセンサスの体験をする形になっていました。グループメンバーの顔と名前も一致してない段階でコンセンサス実習をすると、「言いたくても言えない」ということが起こってしまうんです。


大城先生 そうか。一昨年はそうだったんですね。


ミスターK 恐らくそうだったんだと思います。それで、昨年は「NASA」のパートをもう少し後で実施することにしたんです。最初の授業でグルーピング(グループワークの班決め)をして記者会見形式で自己紹介をしてもらう。2回目は第一印象。第一印象ってあまり深く踏み込まないですよね。それで印象にちょっと触れておいて、3回目にコミュニケーション、4回目にリーダーシップをやって、個々人がだんだんと分かってくる。その後やっと5回目に「NASA」という順番にしたんですよね。そのあたりのプログラムの順序の違いも影響していると思います。


いまの3年生の中には、「《まなぶる》、もうちょっと面白くしたほうがいいですよ」とアドバイスしてくれる学生もいるので、彼らの中にはやらされ感があったり、面白くない体験をしたりした人もいるんだろうなと思います。


先生方も大変だったと思います。自己開示ができていない人同士で合意形成させるために場を盛り上げなければならなかったので。でも、今のプログラムでは、回を経るごとに「先週より今週のほうがもっとグループの人について知ることができた」「この人はこういう人だったのか」とメンバーへの理解が深まるとともに自己開示も進んで、意見のぶつけ合いができるように考えて設計しています。それが「楽しい」と感じられるかどうかの差につながっているのではないかと思います。


大城先生 確かに。そうかもしれません。


ミスターK 大城先生が前任校で行った「NASA」がうまくいったのは、何回かグループワークをやったあとで実施したんですよね。


大城先生 はい、最後の授業でやりました。


ミスターK それは偶然だったのかもしれませんが、カリキュラムとしてはとてもよい構成だったと思います。グループのメンバー同士の親近感が増すまでは、自分の意見でなく、手持ちのカードを読み上げて行うようなワークのほうがまだ難易度は低いです。とはいえ、ただ読み上げるだけでも、このタイミングで発言してもいいのかな、という遠慮を抱えている学生もいっぱいいるのですが。ワークの後で“ふりかえり、わかちあい”の場を設けると、そうしたワークをする過程での個々の葛藤や感じたことが出てきます。それも面白いと感じる部分ですよね。


そのほかに、大城先生が授業のファシリテーションをするうえで難しいなと思うことはありますか?


大城先生 いまはグループ分けが終わって、1回目のワークが終わった段階なのですが、担当しているクラスの中にメンバー間のコミュニケーションが上手くいっていないグループがあるんです。グループの中で複数人が固まっていて、あとのメンバーが入っていかないような状態になっていて。コミュニケーションが苦手なコというわけではないようですが、複数人で固まっているコと、それ以外のコが関わろうとする気配がなくて。こういう場合は、どうしたらいいですか?


ミスターK 何が起こっているのかを、彼らの言葉で言えるような場を一度は持ったほうがいいかもしれませんね。全員がいま自分たちのグループがどうなっているのか、分かっていると思うんです。なぜバラバラになっているのか、すでに言いにくい状況にはなっているでしょう。そんなグループの状態では“ふりかえり、わかちあい”をしても、何も出てこないでしょうね。もう少しエネルギーが溜まるまで待ってみてもいいかもしれないですし、ガッと圧力かけるのも一つの方法かもしれません。


大城先生 「みんなでワークをしなさい」と言ってしまうとか?


ミスターK 授業のどこかのタイミングで、「今週は全員机をくっつけてやります」というやり方を試してみてもいいかもしれないですね。


大城先生 なるほど。そうするとみんなでやらざるを得ないですからね。


ミスターK その時に彼らがどんな選択をするか、どんな座り方をするのか? 複数人で固まっているコたちのほうが、離れて座っているコに対して、「あの人が私たちを避けている」と思っている可能性もありますから。


大城先生 なるほど。じゃあ次回、早速それを実践してみたいと思います。


ミスターK それでも変わらなければ、「今週はグループ内で席替えしよう」と提案してみてはどうでしょう?先生の口から事実を言ったらいいと思うんです。「私からは、近いコとは話しているけれど離れた席にいる人や対角線上の席にいる人とはあまり話せていないように見える。だから、グループの人みんなと話せるように席替えをしてみよう」と。その際に、「席替えの方法は任せます」と、どこかに学生が選択できる道を入れておいたほうがいいと思います。


大城先生 学生自身が、これは自分たちが選択した、と思えるようにということですね。


ミスターK デシの「自己決定理論」と同じことのような気がします。自分で決めると動機につながるんですが、全部人に決められると、言われた通りにやります、という感じになってしまうような気がするんです。


大城先生 そうですね、すごくヒントがもらえました。やってみます、いろいろなことを。


ミスターK 「Kのアドバイスの通りにやってみたら、えらいことになりました」なんて事態が起きたらどうしよう(笑)


大城先生 どうでしょうか(笑)。でも、何か起爆剤がほしいなと思っていたので、参考にさせていただきます。



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 株式会社ラーニングバリューでは「自己の探求」や「チームビルディング研修」などの教育プログラムを活用し、学校や授業、クラスなどのコミュニティの活性化支援を行っています。

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