top of page
odlabo

【大東文化大学】連載2-1/キャンパスに落ちているアクティブラーニングの種を芽吹かせる

更新日:2020年4月28日

2017年、学生の新しい学びの場の提供と、社会で活躍する「大東人」の育成をめざして「Daito Education PLUS(以下、DE+)」を立ち上げた大東文化大学。学科の授業や学習に加えて(PLUSして)、課外活動を中心に学内のさまざまな活動を学びの場に変える新たな教育チャレンジの推進役が田中 博史先生(スポーツ・健康科学部 スポーツ科学科 教授)です。DE+設置に構想段階から携わり、いかにして教職員を巻き込み、キャンパスの活性化を進めているのか。その舞台裏に迫ります。




―― 「Daito Education PLUS(大東エデュケーションプラス/以下DE+)」の立ち上げの背景について教えてください。


田中先生 2016年に学長プロジェクトの一環として、学生向けのリーダー研修にラーニングバリューさんの「自己の探求」を利用させていただき実施したのが始まりでした。

その研修には「アクティブラーニングを加速するリーダー研修」というタイトルがついていたんですが、正直「これでは伝わりにくいかもしれない」という印象を持ちました。アクティブラーニングはこれからの学びの主流になるという感覚はありましたが、学生にリーダー研修をしたら、なぜそれが加速するのか。そもそも「なぜリーダーなんだろう?」という疑問もありました。僕らはスポーツを専門にしているので「リーダー」というと、「おい、みんな、ついてこい!」というものを想像しがちで、「いやいや、どの子もでもリーダーになれるわけがないでしょ」と思ったからです。


――リーダー研修をしたところで、みんながリーダーになれるわけがない、と。


田中先生 そうです。いろいろな個性を持った学生が参加するわけですから、集まった学生達全員が、現場に戻って「俺について来い」とはなれないでしょ、と。でも、自己の探求を通して改めて「リーダーとは何か」を考えたら、いろんな個性を束ねる存在であって、「俺様についてこい」という人ではないということがよくわかりました。そこで「アクティブラーニングを加速する」という表現もわかりにくいので、「社会で飛躍する大東人を目指す」ことをねらいとして、翌2017年からは研修の名称を「大東文化を元気にする学生リーダー育成プログラム」に変えたんです。


――アクティブラーニングを「教育の一場面」だけのことでなく、学生生活を通してスパンの長いものとしてとらえなおした、ということですね。


田中先生 そうです。そこで、社会で飛躍できる人材育成のために、何からの特別な教育が必要ではないかと考え、最初はPBLを行うことを考えました。

実は2016年に初めてリーダー研修を行った後、「せっかく研修をしたのに、学生を活動をさせる機会がないよね」というのが大きな反省だったんです。「自己の探求」を体験した後で学生がものすごくイキイキとしたのですが、その状態を継続させて次の活動につなげることができなかった。食品メーカーとのコラボ企画など、小さなものはいくつかあったのですが、もう少し組織的にできないか、という声も出ました。

ですが、PBLを具体的に検討するうちに、学生の活動の場は、わざわざ学外に求めなくても学内にあることに気づいたんです。


――学内にもPBLの機会がある、という情報はどうやってキャッチしたのですか?


田中先生 大学内には授業や学生管理のみならず様々な業務があります。本来、産学連携などのPBLを考える場合、その相手を学外に求めがちですが、同じものが学内にあると、気がついたんです。そこで、「学生が主体となって正課外の様々な活動に取り組む組織が立ち上がりますが、学生に何か活動の場を提供してもらえませんか」と各事務部署にアンケート調査をしたんです。すると、「こういうことをしたいけど、マンパワーが足りなくて困っていた」という回答があり、学生へのニーズを掘り起こせたんです。「事務部署単独で学生を集めようとしたが、全然集まらずに困っていたので助かった」という声もありましたね。


――学生のパワーを活用したい事務部署と活動の場を求めるDE+の、双方のニーズが一致したということですね。ところでDE+の参加者はどのように募っているのですか?


田中先生 もともとのきっかけはリーダーシップ研修、つまりラーニングバリューさんのプログラム「自己の探求」に参加してきた学生達がDE+に参加する権利を有す、と言う形でスタートしたんです。そのリーダーシップ研修の受講者は、2016年は学部学科から推薦された学生、2017年は学生部などの部局にも枠を広げてやる気のある子を推薦してもらっています。そして2019年度からは、学部や部局の推薦がなくてもやりたい人が手を挙げて個人で申し込めるフリー枠をつくろうと思っています。


――現在DE+はどれくらいの規模なのですか?


田中先生 DE+登録メンバーは全体で100人くらい。約半数が1年生で、2年生が30~40人程度で、3年生は一握りでしょうか。学部はバラバラですね。板橋キャンパスと東松山キャンパス(埼玉)に分かれているので、打ち合わせの際は大学の遠隔ビデオシステムを貸したり、学内のWi-Fiで無料ビデオ通話を使ったりしています。


――研修プログラムやDE+の活動を通していろんな経験ができるし、いろんな学部の学生と友達なれるし、活動の魅力も口コミで広まってやりたいという人も増えているのではないですか?


田中先生 今のところリーダーシップ研修の満足度は97%。最初は「面倒くさい」「推薦されたから仕方ない」と言っていた学生も、2日間のプログラムが終わると「やってみたら面白かった」と言いますね。


学生の中には「大学に入ったけれど、何をしたらいいんだろう」と悩んでいる子が結構いるんですよ。ですから、能力が高いのにモチベーションが低いままの学生を掘り起こしたり、大学に入ってやる気が高まっている学生の受け皿になったりするのがDE+の役割。いろいろなプログラムを通じて、文章を書いたり、企画書を作成したりといった、学ぶ場所や環境を準備してあげることで、大学の授業だけでは習えないことをしてプラスで身につけさせて上げたいのです。


――2017年のリーダーシップ研修の受講者の中からDE+の1期生を募り、彼らが2018年の入学式の運営に携わることになったと門脇学長先生から伺いました。その経緯についても聞かせてください。


田中先生 もともと本学の入学式は、体育館に椅子を並べて午前と午後の二部制で行っていました。ガチガチに固い真面目な式典です。ところが、門脇先生が学長になって、「入学式をショーにしませんか」という話が持ち上がり、それを学生にさせてみようという運びになりました。その後、会場がさいたまスーパーアリーナに決まり、入学生全員が集まって入学式ができることになったんです。


――プログラムの企画は学生がしたのですか?


田中先生 そうですね。2018年から会場がさいたまスーパーアリーナに決まり、入学生全員が集まって入学式ができることが決定しました。そこで学長挨拶や理事長挨拶といった式典のマストアイテムは必ずプログラムに入れてもらうとして、後は学生がショーとしての味付けをしていってもらったという感じです。演出上、式典を2部構成にして、プログラムも時間割も学生が考えてくれました。司会進行も、1部から学生が担当しました。さいたまスーパーアリーナには学生だけで3000人、保護者も入れると7000人くらい集まり、この年のDE+の目玉プロジェクトになりました。


――活動する学生の姿を見て印象に残っていることはありますか?


田中先生 文学少女だと思っていた3年生がものすごいパソコンや映像の使い手で、入学式のオーロラビジョンの画像つくってくれて、「監督」という名前がついていましたよ(笑)。おそらく、これまで大学ではそんな能力を発揮するシーンはなかったのでしょうが、そういう人材を掘り起こせたのは大きいですよ。その他にも、人前に出て大きな声で話せるとか芸人のマネをするとか、普通の人にはできないようなことができる学生もいました。DE+はメンバー相互にそれぞれが持つ能力を知り、またそれぞれの得意なことを活かせる集団になっているなと思いました。


――チームの中で個性や能力が見えて、それを活かせるようになってきた、ということですね。今後はどのように活動を発展させていくつもりですか?


田中先生 次年度にDE+が参加できるプロジェクトが確定していないので調整中ではありますが、今いる学生を各プロジェクトに割り振って、プロジェクトの活動内容を発信させることを考えています。また、当初は学内の中でできる活動を想定していましたが、それだけじゃ足りないので、自治体や企業との協働など外部と関わるものにも取り組んでみてもいいのではないかとも考えています。



【大東文化大学】他の連載ページへ

#1-123  #2-1・23  #3-123  #4-123



閲覧数:119回0件のコメント

Comments


bottom of page