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【摂南大学】連載1-3/学生の学びスイッチをONにする初年次教育改革

更新日:2020年4月28日


アクティブ・ラーニングの手法に刺激を受け、入学式や新入生オリエンテーションのやり方を学生参加型にシフト。新入生にこれまでにない変化が現れはじめています。


2018年度の初年次教育は「5000人の入学宣誓式」で幕を開けました。入学式翌日から先輩学生がファシリテーターを務める「学修キックオフ・セミナー」を行い、新入生はアクティブ・ラーニングの洗礼を受けることになりました。


「学修キックオフ・セミナー」で学生ファシリテーターが活躍

──私の記憶では「副専攻課程のオリエンテーションで行っている『自己の探求』を新入生全員にやらせたいけれど、予算がちょっとだけしかない」というご相談でしたよね?(笑)。その前に入学式も大きく変えられたように伺いましたが、どのようなことをされたのですか?新入生だけでなく、在学生や保護者も交えた「5000人の入学宣誓式」だと伺いましたが。


荻田先生 プロのミュージカル劇団を使って、吹奏楽やダンスサークルともコラボレーションしながら、全員で声を出したり体を動かしたりするワークショップをしました。入学式の途中で、突然ミュージカル劇団が出てきたのでみんな驚いていました。やりすぎ感がありましたが、どうせやるなら突き抜けないと(笑)。新入生に舞台にあがってもらったり保護者に参加してもらったりしましたが、終わった後で多くの学生はテンションがあがりまくっていました。これで「摂南大学に来たら何かしないといけないと」いう空気感になったと思いますよ。



──入学式翌日からは3日間にわたって新入生1600人を対象に「学修キックオフ・セミナー」をすることになりました。そこで、ラーニングバリューの『自己の探求』のノウハウを活用したプログラム(右図)と、学生に研修のファシリテーターをさせることを提案させてもらったんです。荻田先生は提案に乗ってきてくださいましたが、学生にファシリテーターを任せることに不安はありませんでしたか?


荻田先生 私は基本的に人を信用しやすくて、楽観タイプ。「まず決める」のが人生のスタイルなので、信頼しているラーニングバリューさんが提案してくれるんだから「できる」と思いました。これは楽観的直感です。そう決めたらやるしかないし、もちろん、前提として彼ら(学生)を信頼していたこともあります。



──学生ファシリテーターの募集は公募ではなく、リーダーを荻田先生が指名され集められましたよね。


荻田先生 SA(※1)リーダーのH君は私のPBLの受講生で、日頃から関係が深かったし、UNGL(※2)リーダーのTさんとも面識があり、大学の中での活動について相談にのるなど、信頼関係がありました。学生ファシリテーターの話があった時にこの2人のことは頭にあって、SAとUNGLの協力で実現できるだろうと思ったのです。2人にメールをしたら、1週間でリストがあがってきて、「できる」と確信しました。組織を動かしていくためにはリーダーとの信頼関係は重要でしたね。


※1:SA(スチューデントアシスタント)/副専攻で教育補助を行う学生スタッフ

※2:UNGL(アングル)/西日本学生リーダーズ・スクール。

大学間連携で学生のリーダーシップ養成のための活動・研修を行う学生組織


※ファシリテーション研修のプログラム。摂南大学では2月に2日間の研修を2回(合計4日間)実施した。この研修の企画とファシリテーションは弊社が担当した。研修プログラムは主としてロールプレイとフィードバックで構成し、学生ファシリテーターのチームビルディングが進み、その体験が本番のファシリテーションに活きることを狙った。



※学修キックオフ・セミナーの事後アンケート結果。満足度が非常に高いことが分かる(データは荻田先生提供)

──入学宣誓式、学修キックオフ・セミナーを経て学生の様子はいかがですか?


荻田先生  学修キックオフ・セミナーの感想は、ほとんどの学生が満足と答えてくれていて、「コミュ障(コミュニケーション障害)の僕を温かく迎えてくれてうれしかった」などのコメントもありましたよ。これをやったおかげで、学生が元気になった気がします。学生課主催でやっている新入生対象のフレッシュマンキャンプも、例年、薬学生の参加者は1~3人程度でしたが、今年は30人以上参加したらしいですよ。「摂大に来たら何かやらなあかん」という空気感はできてきたんじゃないでしょうか。


──入学宣誓式と学修キックオフ・セミナーを経て、「4年間を積極的に過ごしていこう」という意識が芽生えたのかもしれませんね。


荻田先生  教員からも「遅刻が減った」「朝のバスが満員ですね」といった例年にない感想が聞かれます。「初年次ゼミでのグループワークが、すぐに始められるようになった。今までと全然違う」との声もあります。続いているどうかは不明ですが(笑)。いずれにしてもたった1日の学修キックオフ・セミナーでこんなに効果があったようです。


──学生が授業を行う新しい教養科目についてはいかがですか?

荻田先生  副専攻課程のSA学生がファシリテーターとなって授業を進める「大学教養入門」をスタートさせました。課題図書の「おとなの教養(池上彰著)」「アドラー心理学入門(岸見一郎著)」をグループ内で分担して読んで、内容を紙芝居形式に書いてまとめて、ふりかえりとわかちあいをするアクティブ・ラーニングです。全学部合同で300人が受講していますが、だんだん本を読むことや内容をまとめるのがはやくなって、みんなが成長していくことに驚いています。「最初はできなかったけど、伝える能力の大切さがわかった」とか、「不本意入学で後悔の日々を過ごしていたが、アドラー心理学を学んで過去のことより未来に向けてスイッチ入れ替えたほうがいいと気づいたのでこれからがんばっていきたい」とコメントしてくれる学生もいて。うれしいですよね。授業を聞かずに、試験前にプリントを覚えて単位を取るだけの教養科目から、がらりと大きく変わりました。




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