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【摂南大学】連載2-3/副専攻課程で実践するアクティブラーニング

更新日:2020年4月28日


特に初年次前期の必須科目「地域と私」には、「主体的に学ぶ」ことに慣れていない学生のために、彼らがアクティブに動きだすきっかけをつかむための仕掛けがありました。化学反応を起こした学生たちは、摂南大学の中核を担う存在へと成長を続けています。


いかにして、学生がアクティブに動き出すきっかけをつくるか?

──「地域と私」のイントロダクションにチームビルディング研修として2日間の『自己の探求』を導入されていますが、その理由を教えてください。


鶴坂先生 それは前任校での経験があったからです。私が初めて『自己の探求』を体験したのは2010年。就職活動を控えた学生対象にこの研修をしたら、すごく伸びて、みんないいところに就職したんです。学生のマナーが悪化して大学が荒れて、退学率が上がっていた時期の新入生オリエンテーションでも実施しました。在学生のサポートチームもつくって新入生へのウェルカムな雰囲気をつくって行ったこともあって、大学のムードも良くなりました。要は「場づくり」なんです。研修をきっかけに明らかに集団としての学生の雰囲気が変わるので、その力をうまく活用してグループワークをしたらいいと考えたんです。


「地域と私」はグループで議論したり、みんながリーダーシップを発揮したりして一つのものをつくる活動です。『自己の探求』を使えば、最初は全然知らない子同士でも、打ち解けて相互理解を図るきっかけになります。それを授業につなげる自信はありました。「4月の頭に『自己の探求』を実施して学生が活性化しても、放ったらかしにしていると学生のモチベーションが継続しませんよ」と、ラーニングバリューの方にアドバイスされていたことをちゃんと念頭に置いて、その仕掛けを「地域と私」に活かしたんです。だから、うまくいくに決まってる。やる気になっている学生がいて、各領域の専門の先生が講義をして、フィールドワークで現地に行けばその道のプロの人がいるわけだから、失敗するとは思っていませんでしたよ(笑)。


また、摂南大学って不本意入学者が多いんです。ネガティブな気持ちで入学してきている子をポジティブな気持ちに変えるにも『自己の探求』はぴったりだと思ったんです。


学生に『自己の探求』を受けさせたいと思っていたのは私だけではありません。一緒にカリキュラムを考えた古屋さん(研究支援・社会連携センター)・江島さん(教務課)も、他大学の事例から同じことを考えていました。フィールドワークの前にチームビルディング研修を実施するのは、私たちの悲願でもあったんです。



──2016年度に副専攻がスタート。2017年度からは2年生になった副専攻1期生が1年生のSA(Student Assistant学生による授業アシスタント)を務めるようになりました。この経緯についても聞かせてください。


鶴坂先生 前任校の時代から、ラーニングバリューの方からのSAを活用している他大学の事例を聞いていたので、やれるならやってみたいと思っていました。グループワークの時に、先生目線でなくて学生目線でアドバイスしてくれる人がいたら議論が活性化するのではないかと思ったからです。先輩は後輩に頼られる喜びがあるし、先輩と関わりができたら後輩にも帰属意識が生まれる。それで先輩から後輩へのタテの流れをつくるためにSAを入れたらいいのではないかと思っていました。

すると、関西大学のLA(Learning Assistant)組織と交流していた教務の江島さんも乗り気になって、「それはぜひやりましょう!」ということになったんです。そして、荻田先生がそれを制度化してくださいました。


もともと副専攻1期生の中には、由良町の「海の学校」というイベントのボランティアに行ったり、オープンキャンパスで副専攻のアピールをしたりするなど、授業以外でも積極的な活動を行う学生が出てきていました。そういう背景もあり、SAを組織できそうだという手応えはあったんです。それで2016年の秋頃、1期生に向けて「1年間の経験を生かして次の1年生をフォローしてもらえませんか」とチラシを配ったところ、15名の学生が「興味がある」と集まってくれました。



──学部・学科での授業だけでなく、副専攻の立ち上げや授業改善、SAの組織化など、多岐にわたって学生の学びに関わっていらっしゃいますが、鶴坂先生をこれほどまでに突き動かすモチベーションは、一体何なのでしょう。


鶴坂先生 私は「マーケティングを教える人間は、マーケティングを体現できないといけない」と自分に課しています。こちらがせっかくサービスを提供しているのに、満足してないというのが耐えられないんです。お金をもらっているのに、相手に反応がないとか、つまらなそうにしているのなら、何とかしないといけないでしょう?


常々私は「大学を学びのテーマパークにしたい」と言っています。そして私自身、クルーやキャストとして、ここをめちゃくちゃファンキーで面白い、楽しくて毎日行きたくてたまらない場所にしたいんです。ロック魂で学生を乗せたいし、自分も乗っていきたい(笑)。お金をいただいているので満足度300%にしてあげたいんです。学生が満足してくれたらうれしいし、疲れも吹き飛ぶ。そのうえ成長する人に伴走していけるなんて、ありがたい仕事だと思いますね。



──副専攻の設置は、摂南大学にどんな新しい風を吹き込んだと思われますか?


鶴坂先生 入学式の日、私は学科長として「大学は“どこで学ぶか”でなく“何を学ぶか”が大切。ここに来てよかったと思う4年間にしてもらうために、摂南大学ではいろんな仕掛けを用意しているので、自分の成長のきっかけにしてほしい」と話しました。その言葉を聞いて一人の学生が副専攻に応募してくれました。彼は摂南大学には不本意入学だったそうですが、リーダーシップを発揮できて気配りもできる優秀な学生です。副専攻という仕組みがなかったら、私たちはそういう子を見逃していて、その子たちもふてくされて別のことやっていたのかもしれません。きらっと光るものを持っている子をすくいあげて、顕在化できたのはすごくいいことだなと思います。



──キャンパスの雰囲気に変化は感じていますか?


鶴坂先生 副専攻を立ち上げる時に、「これからの摂南大学を担っていくスターを育てるコースにしたい」と思っていました。今、1期生は3年生になっていて、クラブの部長や課外活動の代表など、学生のリーダー的なポジションを担ってくれています。今年の入学式の学生代表を務めた学生も副専攻の学生で「副専攻に参加して自分は変わった」と発表してくれていました。今年の入学生はそんな先輩の姿に憧れ、彼らをロールモデルにして「こんなふうになりたい」と思ってくれているようです。



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鶴坂先生のご専門はマーケティング。だから先生は、授業をマーケティングで発想され、設計され、運営されていらっしゃるということがよくわかりました。「ファンキーで面白い場所にしたい」と言うのも決して遊びじゃない。むしろ厳しくて、いつも真剣勝負。副専攻課程ではチームビルディングをきっかけに学生さんをモチベートし、期待して負荷をかけることで、彼らの埋もれていた才能は自ら芽を出します。そのプロセスを先生は楽しんでおられるんだなぁ、と感じました。先生の研究室にいつもたくさんの学生さんが訪ねてくるのも、そのあたりに理由があるのかもしれません 。

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