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【摂南大学】連載3-2/授業支援の学生アシスタント(SA)の活用と発展

更新日:2020年4月28日


2014年12月に、関西大学のLA(Learning Assistant/学習支援を行う学生アシスタント)のファシリテーション研修として実施された『自己の探求』に参加した江島さん。摂南大学の副専攻課程でも、先輩が後輩の授業に参加してファシリテーターを務めるSA(Student Assistant)を活用することを思いつき、組織化に向けて動きだしました。

先輩が後輩の授業のファシリテーターを務める。SA導入のプロセスと成果

── 2016年度からソーシャル・イノベーション副専攻課程が始まり、翌2017年度にはSAが導入されています。その導入の経緯について教えてください。


江島さん  副専攻が始まって間もなくして、荻田先生から「SAをつくろう」という話が出ました。そこで、まずは学内のSAに関する規定(ルール)の見直しを行いました。当時の規定ではSAとしての雇い入れができるのは3年生以上とされていましたが、2年生以上の雇い入れができるようにしました。

そして、2016年度後期科目の「北河内を知る」の授業でチラシを配布して、2017年度の前期科目の「地域と私」の授業にSAとして参画してくれる人を募集しました。すると、5学部9学科から15人の学生が手を挙げてくれたんです。その後、彼らが学部・学科の枠を越えて仲良くなっていく姿をそばで見ていて、なんかええなぁと思いました。これまで正課外のクラブ・部活動では学部関係なく学生が活動する場はありましたが、正課ではあまりなかったかもしれません。総合大学のメリットを活かせる、ええ仕組みやなぁと思いました。


──副専攻1期生150人のうち15人がSAになった。1割もの学生が手を挙げたというのはすごいですね。学部学科バラバラの学生が集まったとのことですが、彼らをチーム化していくことは意識されましたか?


江島さん  意識しましたよ。せっかく何かの縁で集まってくれた学生たちなので、一体感を持ってほしいなと思っていました。SAデビューの前、2月上旬に、荻田先生から各学部の先生方にお声かけいただき、ワークショップ形式の研修をやってくださったのですが、そこで一体感が生まれたかなと思います。それ以降、ことあるごとにみんなで集まって、授業に入る時のルールや心構えについて話し合っていました。また、新入生に副専攻を履修してもらわないことにはSAの仕事ができませんので、新入生を勧誘するためのガイダンスの準備をしたり、学内のいたるところにポスターを貼ったりもしました。その頃には私もすっかり学生と仲良くなっていましたし、みんなで楽しみながら活動に取り組んでいましたね。


──SAの活動や交流を促進するためのスペースは設けていたんですか?


江島さん  それが、なかったんです。課外活動団体ではないので、部室のような専用の部屋を用意してあげられなくて、主に教務課の横のブースや共通ゼミ室を使ってもらっていました。教務課は一般的に学生には敬遠されがちだと思っているのですが、教務課にくるのが楽しくて、三々五々で集まってくる珍しいメンバーたちです。必要があればSNSで集合をかけて話し合いをしていました。SA同士仲良くならんとあかんとか、枚方(キャンパス)の学生にも参加してほしいとか、ファシリテーションのやり方や、副専攻科目のルーブリックを変えたいとか、いろんな意見を出しながら活動していましたね。



──そして、2017年度の前期必修の「地域と私」から本格的にSAの活用が始まりました。授業における「学生によるファシリテーション」とはどのようなことが行われているのですか?


江島さん  「地域と私」はグループワーク主体の授業なので、SAが各グループを回って議論が停滞している時に、昨年の自分の経験をもとに助言を与えたり、別の角度からの視点を提供したり、時にはグループに入って議論に参加することもあります。グループワーク後に各班に発表してもらう時の司会もやってもらっていました。もちろん、プリント配布や机のセッティングや片付けといった授業補助もやってもらいますが、メインでやってほしかったのは、履修学生に積極的にかかわってもらうことです。

また、関西大学さんのLAの仕組みを参考にさせていただき、授業後には報告書を提出してもらうようにしました。


──その報告書は江島さんが確認していたんですか?


江島さん  いいえ、内容についてはほとんどチェックはしていません。私は学生の指導的な立場とはあまり思っていなくて、「一緒にやっていた」という気持ちが強いです。報告書の提出を義務付けたのは、「その日に経験したことを忘れないよう、気づきを書いておきなさい」という意味を込めてのこと。報告書を共有ドライブに入れて、勤務に入ってないSAにも気づきを共有できる仕組みにしました。

日々の経験からよく分かるのですが、気づきというものは頭で思っていても忘れてしまうものです。だから、記録するクセをつけ、自分で定めたスモールステップを越える習慣を身につけてほしいと思ってルールにしたんです。提出してもらった報告書はファイルに綴じているので、彼らが就職活動を始める頃に返してあげてほしいと引き継ぎ、異動しました。「2年の時にはこんなことを考えていたんだ」と、自分の活動をふりかえる材料にしてほしいと思います。



──副専攻2期生は100人ですが、1期生と同じくらいの人数がSAに手を挙げて参加してくれているそうですね。 授業への満足度の高さが、SAをしてみたい、というモチベーションにつながっているのかもしれませんね。


江島さん  「地域と私」の履修定員は本来100名なのですが、希望者多数につき、1期生だけ約150名の受講を許可したところ、授業運営が難しくなった部分がありました。このことを踏まえ、2期生からは定員通り100名でスタートしました。母集団が減ったのに、SA志望の人数はさほど変わっていませんので、授業そのものを楽しく感じてくれたり、先輩SAの姿を見て自分もやりたいと思ってくれたのかなと。授業最後のレポートを見ても「楽しかった、やりがいがあった」という声が多く、学生の満足度はエビデンスレベルでも確認できています。



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