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【摂南大学】連載4-1/学生の当事者意識が高まるチームビルディング

更新日:2020年4月28日


連載1~3回では摂南大学の初年次教育改革の取り組みについて、副学長、教員、職員のキーパーソンにお話を伺ってきました。第4回は2016年度に始まった副専攻課程の1期生でもある、 経営学部・経営情報学科のGoくん・経済学部・経済学科のYukiくんにお話を伺っていきたいと思います。  


――まずはそれぞれに、摂南大学に入学した理由について聞かせてもらってもいいですか?


Goくん(写真右) 兄が大阪工業大学出身なので、摂南大学のことは知ってたんです(大阪工業大学と摂南大学は同一法人)。僕はもともと国公立志望で、高2まではもっと上の大学を目指してました。けど、高3になって心が不安定な時期に勉強がうまくいかなくなって・・・。結局、志望校に全部落ちて、とりあえず興味のある学部学科があるという理由から摂南大学経営学部に入学したんです。


――経営学部を選んだのは?


Goくん 高校の時は理系で、情報分野にも興味を持ってました。進路を考えるうちに、工学にもマネジメントが必要だし、経営するにもICTの力がないとやっていけないことに目をつけて、経営工学、経営情報の分野を志望するようになったんです。


――Yukiくんが摂南大学を志望した理由は?


Yukiくん(写真左) 僕は中3の時にいろいろあってクラスになじめなくなり、家庭も不安定やったりとかいろいろあるんですが、中学1,2年の時は勉強できてたので、高校へは苦労せずに入ってしまって・・・。それで高校入って全然勉強しなくなって勉強についていけず、クラスにもなじめなくて欠席がちだったりしたので、最初のうちは大学進学なんて全然考えてませんでした。結局留年して引きこもりがちになってしまい、家でテレビやネットばかり見てた時期に経済学に興味を持つようになって・・・。NHKの「白熱教室」に影響されたんです。それで海外の大学に行きたいと思い、もう一度高校に通いはじめたんですが、学力的に海外の大学に進学するのは難しい。とにかくいろんな学部の友達をつくってディスカッションしたいなという思いはあったので、総合大学ならいろんな学部の人がいるなと思い、経済学部がある総合大学を2校受験して、ここに入りました。


――経済学に興味を持ったのはなぜ?


Yukiくん 引きこもっていて世の中への不満がいっぱいあったからだと思います。経済学は社会科学の中でも論理的な学問で、理系に近い。しかし、“技術”とか“役に立つもの”ではなく、社会の構造的な課題を解決していく。そんなところがすごくいいなと思ったんです。


――なるほど。じゃあ二人が入学した2016年度からソーシャル・イノベーション副専攻課程が始まったけど、この副専攻課程を選んだ理由は?


Goくん 僕は一旦入学したものの大後悔。通学も不便だし、大学にも馴染めず辞めようかと考えていたんです。高校の友人は国立大学や有名私大に進学したのに自分は摂南大学、というポジションもイヤでした。そんな気持ちでオリエンテーションを受けていたら「今年からソーシャル・イノベーション副専攻課程が始まります」という話を聞いて。ここでしかできないことをやったら、自分に付加価値をつけられて、就活でも国立大や有名私大の人より優位になるんじゃないかと思い、参加することにしたんです。


Yukiくん 僕は大学に入って変わりたいと思っていたし、他学部の友達をつくりたいと思っていたので、ガイダンスで副専攻課程の紹介を聞いて、迷わず入ることを決めました。


――新しいことを始める期待感と、初対面の人ばかりという不安の中で副専攻課程がスタート。最初にチームビルディング研修『自己の探求』(ジコタン)を実施しましたが、その時のことについて覚えていることはありますか?


Goくん 1年生の時の『ジコタン』は友達づくりという印象でした。その時に同じグループになった子とは濃い関係をつくれたので今でも続いてるし、地域貢献実践演習も一緒にやってます。


Yukiくん 僕はグループワークで、自分の突拍子もない提案が良い結果に結びつき、グループの中心になれたことが印象に残ってます。それまでは引っ張っていくタイプというよりも、周りからいじられるタイプだったので、仲間から認められたというのは大きかったですね。また、僕は自分から話すほうではなかったので、環境が整っているところであればこんなに話せるんだ、人見知りじゃないんだ、とも思いましたね。


――自分のことを認めてくれる仲間と出会えた安心感が、前期の必修科目「地域と私」でのグループディスカッションやフィールドワークに安心して臨める土台になったのかもしれませんね。その後授業はどのように進んでいったんですか?


Yukiくん 「地域と私」は、今は土曜にやってますが、僕らの頃は金曜5限にやっていて、講義を聞いて、持ち寄った意見を出しあって、自分たちの意見をまとめるまでを時間内にやる形でした。講義は長いし、意見をまとめる時間は無いし、という感じで多少ダレることもありましたね。


Goくん 先生たちも「副専攻課程は私たちも初めてだから、正直なところ、どうしたらいいか分からない。模索状態でごめんね」と言いながら進めてました。


――おや?これは先生たちからは聞いていなかったエピソードですね。初年度の授業は学生さんにとってはスムーズに進んでいるとは言い難かった、ということなのかな。


Yukiくん 不満が多かったりグループワークが円滑でなくなったり。せっかく『ジコタン』でできた関係が崩れかけているグループもあったし、(前期の最後の)プレゼンテーションの準備がうまくいってないグループもありましたね。


Goくん それにグループワークをするにも、今のような可動式の机がある教室じゃなかったんですよ。僕たちの時は集団教室で、前の席の人が後ろを向いて話し合いをするような状態で最悪でした。そんな状況に不満を持っている人が、授業を変えよう、とSA(Student Assistant/学生の授業アシスタント)に手を挙げたんです。



――みなさんが1年後期の授業に突入した頃に、次年度の副専攻課程1年生の授業支援をするSA募集が行われたと聞きました。普通の授業だと、不満に思うことがあっても、学生は授業評価アンケートに不満を書くくらいしかできないわけじゃないですか。なのに、SAになれば自分たちで授業を変えられると思ったんですか?


Yukiくん 変えられるというか、変えたい、と思ったんです。授業には不満が多かったけど、出会う仲間には恵まれてました。副専攻では授業中にボランティアやオープンキャンパススタッフのメンバーが募集されることがあって、そういう活動に積極的に参加するメンバーがSAになりたいと集まったんです。


Goくん SAは教職員と学生の間のポジションではあるんですが、ちゃんと(手当をもらって)大学に雇用されるので、教員寄りの立場で発言できると思ったんです。先生は授業を作る立場で達成感があったかもしれないが、僕らには不満があった。その不満を先生たちも聞きたかったんだと思うんです。それでちょっとずつ改善していって、授業が土曜になったり、ワールドカフェ形式になったりしていったんです。


――SAの役割についてはどういうものが期待されてたんですか?


Yukiくん 最初はプリント配りや、グループワークをしやすいように机を配置するなど授業の準備からはじめて、徐々に1年のグループワークにも参加していって、グループワークを円滑にするファシリテーターのようなことをやっていこうと話してました。


Goくん 後期の必修科目「北河内を知る」の頃には、僕たちもだいぶSAに慣れてきていて、「先生の話を聞くだけの授業ではイヤ」だと思うようになってました。


Yukiくん すでにその頃には、SAがいなくても1年生の議論の場は活性化されていたので、SAの中には「わざわざSAが入らなくても1年生は自分たちでグループワークができるから、もうSAは要らないのではないか」という人もいて。これから自分たちは何をしたらいいのか、と悩んでいたタイミングでもありました。


Goくん ある時、外部講師の先生の授業がうまくいかないことがあり、それを見た荻田先生(荻田 喜代一 副学長)がポロっと「SAに授業やらせたらいいじゃないか」と言ってくれて。すかさずメンバーが「私、やりたいです~!」と手を挙げて。


Yukiくん それで、「北河内を知る」のファシリテーターを学生がするようになったんです。学生が講義をするという話もあったけど、さすがにそれは難しいということで、外部講師の紹介や発表や全体の司会進行やなどをSA中心でやるようになりました。


Goくん そもそも授業の改善案を出すのが僕たちSAの役割だったわけじゃないんです。SAが勝手に集まって、「こうしたいよね」というのを、先生に上げて「やろう、やろう!」と進めていったという感じ。やりたいことがあると周りを巻き込んで上手にやる人がメンバーにいたので、「学生がファシリテーターとなって授業を動かそう」というのも実現できたんです。



――鶴坂先生(副専攻担当教員)や江島さん(教務課職員)とはどのようなか関わり方をしていたんですか?


Goくん 他の授業のSAは「先生の子分」のような感じなんですが、副専攻の先生や職員さんは僕らを対等にみてくれています。僕たちは教職員の方に敬意をはらいますが、接する機会も多いし、親密な感じで向き合ってもらえたので、意見を言いやすかったです。



――「1年生のために授業をよくしよう」という共通目標があったから、教職員と学生がお互いに率直にものを言えて対等に話せたのかもしれませんね。



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