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【摂南大学】連載2-2/副専攻課程で実践するアクティブラーニング

更新日:2020年4月28日


従来、フィールドワークを取り入れた授業を展開してきた摂南大学。「ソーシャル・イノベーション副専攻課程」の設置にあたって、これまでに培ってきた各学部・学科のノウハウや教員の知見を活用。地域を舞台としたアクティブな学びを可能にしています。


アクティブラーニングで居眠りナシ。「もっと自分から発信したい」学生を育てる

──COC+の申請業務だけでなく、副専攻課程の設計も鶴坂先生の仕事だったんですよね。カリキュラムの設計思想をお聞かせください。


鶴坂先生 一緒にCOC+に採択された他校の副専攻も「地元を学ぶ」というコンセプトなので、(COC+の舞台である)和歌山と(摂南大学がある)北河内を勉強するのは外せません。1年目は課題解決にまで至らなくてもいい、地域にはこういう問題が転がっているというのがわかる程度でいいと思いました。そして、2年になったら地域に入っていってPBL(課題解決型授業)でもう一歩踏み出して、3年生になったら地域にどっぷりつかって活動してもらう。1~3年次を「ホップ・ステップ・ジャンプ」で進めていきたいと考えました。


また、「地域」がキーワードになっている科目がどの学科にもあることにも目をつけていました。2014年の着任前に、「摂南大学はフィールドワークを頑張っている大学」という評判は知っていたんです。ですが、ここに来てみて、学科ごとに先生や学生が頑張っているんだけど、それが有機的に結びついてないなと感じていました。みんないいことをしているのにバラバラだから、「こういう体系でやっています」と外部にアピールできない。だから副専攻は仕組みをつくるいいチャンスだなと思いました。


大阪府立大学さんにいろいろとアドバイスを受けた時に、府大さんは卒業要件に必要な科目と、副専攻の科目をダブルカウントすると教えていただきました。わざわざ単位を2倍取る必要がないなら、各学科にある地域志向科目を使って組み立てられると思いました。

さらに学部横断でやっている教養科目「摂南大学PBLプロジェクト」や、PBLをしなくてもインターンシップや教職履修者による小学校支援の活動なども組み込んでいけばいいと思ったんです。部品はいっぱいあったので、教務系の知識に詳しい古屋さん・江島さんに相談しながらそれらをうまくアセンブリングしていきました。


古屋さん・江島さんは最高のメンバーで、自分たちも自己研鑽したり、本を読んで勉強したりして大学教育のことをよく知っている。事務職員だから教員から一歩引いているけれど、教員が忘れていることがあるとさっとフォローしてくれる。各学部とのネゴシエーションや教務部長との連携がうまくて、助かりました。





──PBLを含めたカリキュラム編成というものを、前任校でも経験されていたんでしょうか?


鶴坂先生 前任校は短期大学でしたが、PBLをやっていました。普通の大学なら3年間でやることを、9ヶ月でそれなりに仕上げて就活に臨ませないといけなかったので。1年の最初に『自己の探求』のグループワークをさせて、夏休みにフィールドワークをさせて、秋にふりかえりをする。学生にはどこかのプロジェクトに必ず入らせて、自分の強みをつくってもらうようにしました。摂南大学の副専攻では、その流れを大きく伸ばして、3年間のホップ・ステップ・ジャンプで成長させようと考えたんです。


──ホップ・ステップ・ジャンプの“ホップ”の段階にあたる1年次の必修科目「地域と私」(前期開講)、「北河内を知る」(後期開講)は、どのような内容の授業なんですか?


鶴坂先生 「北河内を知る」は、もともと地域連携センターマターの教養科目としてあったものです。オムニバス形式で、北河内に関わるさまざまな達人を招いて、町やその方の取り組みについて語っていただく授業です。


「地域と私」は新たに作った科目です。和歌山県の由良町を題材に、地域にはどのような課題が存在しているのかということを①地域経済経営②地域政策文化③地域医療④地域環境防災の4つの切り口から学びます。それぞれ、経済・経営学部、法学・外国語学部、薬学・看護学部、理工学部の領域に該当していて、要は各学部の切り口で地域を見たらどうなるか、ということを学べるようになっています。


──授業にはアクティブラーニングを導入しているんですよね? 副学長の荻田先生は「地域と私」の授業で初めてアクティブラーニングをご覧になったそうですが、その時のことを「衝撃的だった」と言われていました。実際の授業はどのように進めているのですか?


鶴坂先生 あらかじめ教務課で学部をシャッフルして学生を3クラスに分けて、『自己の探求』のワークによってグループをつくってもらいます。その時につくったグループで半年間一緒にグループワークや由良町でのフィールドワークを行います。


全15回の前半で5人の教員によるテーマ別講義があるのですが、そこは細かいつくり込みをしました。タイムスケジュールを決めて、私以外の4人の先生にもお願いして、同じスペックでやってもらっています。アクティブラーニングを中心にするため、年々講義時間は短くなって、今は教員がしゃべるのは最初の30分くらい。その後、テーマについて20分くらいのグループ討議をして、ワールドカフェ方式で別の班と意見交換をしています。


後半は由良町でのフィールドワークに行き、白崎海洋公園の指定管理者に観光事業について伺ったり、スポーツや地域医療などの観点から行政の課題を聞いたり、地元の方と話をしたりします。それらを受けてグループで考えたことをまとめ、由良町の方にプレゼンテーションを行う、という流れです。



──学生が積極的に発言する姿は、初めてアクティブラーニングを見る人にとっては驚くような光景なのかもしれませんね。一方、後期開講の「北河内を知る」は、初年度は課題が多かったそうですね。90分間、スピーカーの講義を聞くスタイルで、学生がバタバタと寝てしまったとか…


鶴坂先生 どの学生も話す力はあるけど、聞く力が弱いんですよ。学生には、「副専攻の授業は特殊。学部では講義だけの授業もあるけど、聞くのも大事だよと」と言っているんですが、みんなしゃべりたいみたいで。それで、副専攻2年目からは「北河内を知る」も、スピーカーに各市町村の総合戦略と課題について話してもらうのは40分くらいにして、あとはグループワークをして、まとめたものを発表させるスタイルに変更しました。


──授業のスタイルを変えたら、それまで講義で寝ていたコが、時間が足りないくらいしゃべるようになった、と(笑)


鶴坂先生 かつて「集中力の低い人が他人の話に集中できるのは15分」と聞いたことがあるのですが、私はそれがユニバーサルデザインだと思っています。15分講義して、何かワークをさせるのが理想。授業時間の兼ね合いで、実際にやるのはなかなか難しいんですけどね。摂南大学の学生はじっと座っているより体を動かすほうが好きな子が多いので、そのリズムは合っているんだと思います。




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