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【摂南大学】連載3-3/授業支援の学生アシスタント(SA)の活用と発展

更新日:2020年4月28日

ソーシャル・イノベーション副専攻課程の1期生15名でスタートしたSA(Student Assistant)。2016年度入学生(副専攻2期生)の授業に参加し、ファシリテーターを務める中で、誰よりも成長したのはSA自身でした。そして、彼らと伴走した江島さんも、仕事人生の中で感じたことのない自身の変化を実感するようになっていました。

新しい仕事へのチャレンジと学生の成長が財産に。30代にして変わった仕事への向き合い方

──私が『自己の探求』のファシリテーターとしてお邪魔させて頂いた時、 江島さんとSAの距離の近さが印象的でした。職員と学生と言う隔て無く、みんなで同じ方向を向いてやっている感じがして。間近で学生を見ていた江島さんは、どのように感じていますか?


江島さん  私はこちらから一方的に指示を出すのではなく、「私もわからないので一緒に考えましょうか」というスタンス。学生と一緒に走るやり方が私にとっては一番良かったみたいです。


15人のSAの中には、高校の先生向けの入試説明会で大学生活のプレゼンテーションを担当したり、大阪の魅力を発掘する「副首都・大阪プロジェクト」に参加したりと、SAの枠に留まらず新たなアクションを起こす学生もいます。みんなのこれからが楽しみです。



──「指導でなく、一緒にやる」という江島さんの学生に対するスタンス。職員として、ずっとそんな感じで学生と関わっていたのですか?


江島さん  私が教務課に異動したのは2013年度。実は最初は「何で窓口にこんなにたくさん学生が来るの?」と思っていました。特に4月は履修相談などで凄まじい数の学生が窓口に来ます。自分も業務のことが全く分かっていない状態だったので、「もう勘弁して!」と毎日思っていましたよ(笑)。


──異動当初はずいぶん消極的な態度ですね(笑)…今となっては想像できませんが。


江島さん  それまでの所属部署は管理部門が多くて、学生と日々直接やり取りする部署は初めてだったんです。異動して最初の1年間は、特に前期は訳がわからなくて何をやっていたかあまり覚えていません。ただ、今になって考えると担当させてもらった業務がラッキーでした。

教務課では履修と成績、学生が地域の方々と協働して課題を発見し、解決策を提案する「PBLプロジェクト」(正課科目)などを担当させてもらっていました。PBLプロジェクトは総じてモチベーションの高い学生が履修するので、彼らに意識を高めてもらったことも多々ありますし、科目担当の先生とも深い関係を築くことができました。副専攻立ち上げに携わることができたのもその流れが大きいですね。



──学生の活動に深く関わるようになったきっかけは何だったのですか?


江島さん  教務課の直属の係長に刺激されたことがたくさんありますね。その方は、もともと学生といろいろな活動をしていた、とても前向きで熱い人で。一緒にPBLを担当していましたし、私にいろんな研修に行くよう勧めてくれました。おかげで、さまざまなことに興味を持ち、仕事に対しても前向きに考えられるようになりました。

摂南大学では、事務職員、教員、学生、いずれも素晴らしい出会いがたくさんありました。周りの熱い人たちのおかげで、現場で起こっていることがだんだん自分ゴトになっていったんです。実際、他人ゴトではできないことばかりでしたから。学生への接し方も、一方的に指示を出すのではなく、話を聞いて「ほんなら一緒にやってみようか」と言えるようになったのは自然な流れでした。

それ以降、職員として学生のプロジェクトに入っていきました。商店街でのフィールドワークに同行したり、和歌山県由良町へのフィールドワークもバスで引率したり。教務課らしからぬ仕事もいっぱいしました。

副専攻科目の「地域と私」や「北河内を知る」については、学事日程をベースに1~15回目までの大まかな授業日程を立てて、教員に確認をとって担当を当てはめていくことも教務で担当していました。定期試験がある科目ではないので、評価の仕方を考えて、評価ツールの作成部分まで携わらせてもらいました。ルーブリックについて考えるのはとても面白かったですね。担当の職員や教員が変わっても授業を維持できるようなベースはつくれたのではないかと思っています。



──教務課時代は非常に充実していたようですが、「この仕事は楽しい!」と印象に残っているのはどんなことですか?


江島さん  それはもう、いろいろありすぎて一つには絞れません。とにかく、学生がキラキラしている姿を見るのが一番のモチベーションになっていました。履修や成績の業務はもちろんとても重要ですが、正課授業の枠組みの中で学生が元気になれる場所をつくってあげることも教務課の大事な仕事だと思います。学生が授業で楽しそうにしている姿を見て、自分自身も楽しくなっていましたね。

授業に関しては先生にパートナーと思ってもらえて、タッグを組んで一緒に走って、考えたことで、すごく勉強させてもらいました。事務職なのに授業や評価の設計に携わらせてもらうこともできて、とてもいい経験をしたと思います。この3月に異動で摂南大学を離れましたが、今でも鶴坂先生とは定期的に連絡を取っています。「新しいことを始める時は協力しますから」と。


SAからは3月に異動する時にアルバムをもらいました。いつか彼らが私のことを結婚式に呼んでくれたら…とか、勝手に考えています。きっと泣いてしまいますね。

みんなと仕事を越えた個のつながりができて、私にとっては教務課での5年間はすごい財産になったなと思います。


──2018年4月に現在の部署(大阪工業大学 情報科学部事務室)に異動されましたが、現在はどんなお仕事を?


江島さん  庶務・会計に関する業務を担当しています。学科事務室等から回送される書類をもとに、事業の実施や予算執行の可否を判断したりしています。事務室には学生が来ますが、現在の担当業務において学生と直接かかわることは少なく、教務課時代とはとは環境がかなり違います。

事務室内には教務を担当している職員もいますので、「これ、変えれるんちゃう」とか「摂南ではこんなふうにやってたで」とか、自分のこれまでの経験を伝えるようにしています。そういうところにも自分が異動してきた意味はあるのかなと思いますし。自分は自分で、新しい環境で知識と知恵を身に付けたいと考えています。


──担当業務も環境もガラリと変わったようですが、教務課での経験で仕事へのスタンスやモチベーションに変化はありますか?


江島さん  20代の頃の私は仕事を楽しめている感じはあまりなくて、目の前にある仕事を、その意味を咀嚼せずにこなしていました。ですが、教務で教員や学生といろんなことを生み出す仕事に関わらせてもらう中で、これまでとは気概がまったく変わりましたね。


そして、今この部署に異動してきたのも新たな出会いだなと思っています。必ずしも学生と関わることだけが大学職員の仕事ではないし、今の仕事も大学運営にとっては大事な仕事です。そう思えるようになったのは“攻める仕事”をする環境を与えてもらったおかげかなと思います。

20代の頃に一緒に働いていた人には「別人みたいになった」と言われています。「近寄られたら熱い。昔はそんなんちゃうかったやん」と(笑)。30代になっても、人は変われるんです。物事をプラスで捉えられるようになったし、職場に8時間居るなら楽しいほうが良いと思うようになったし。今のモチベーションの源泉はまず自分自身が楽しむこと。「笑いながら、前向きに進んでいけば何とかなるか!」という感じで仕事に臨んでいます。



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「人との関わりで人は変われる」。江島さんのお話をうかがい、強くそう思いました。「摂南大学では、事務職員も教員も学生もいい人に出会えました。おかげで、現場で起こっていることがだんだん自分ゴトになっていったんです」とおっしゃるコトバに、それが表れています。組織開発では、人と人との関係性に焦点を当て、その関係性の変容を促すことで、本来その人や集団が持っている「主体性」や「エネルギー」が芽を出してくることを期待し、活用します。江島さんは、まさにその組織開発の体現者なんだと思います。そしてその体験をした江島さんの眼は、人や組織のさらなる成長に向いています。江島さんらしく、関わった人々と一緒に走りながら。


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